5-2-(10)-1 大原口口役銀取立目当帳
この「口役銀取立目当帳」は、口役銀を課す役荷物をいろは順に記載しているが、記載内容に統一性がなく、使用目的に不明な点がある。
例えば、売薬の項だけをみても、
一 薬 壱駄
薬箱 壱ツ壱匁五分
売薬 五貫百目四匁八分
一 同 壱荷
薬箱 壱ツ壱匁五分
売薬 壱〆六百目 壱匁弐分八厘
一 同壱人風呂敷包壱ツ
荷嵩(にかさ)見分三百目より五百目
(この項の口役銀は記載なし)
濃州上有知
弥藤次
一 売薬両掛壱荷
壱貫五百目
壱匁五分
高山弐之町戸谷屋
小七
一 同 弐荷 但 筵包弐
六貫八百目
五匁四分四厘
など二八項目に及んでいる。
そのうち、個人名を記しているものが二二項目あるが、これらは後からの書き込みと考えられる。
以下、「口役銀取立目当帳」の記載に従って、品目名を列記し、個人名を記す項目がある場合は△印を付してその項目数を書き留めておく。
い
糸枠(いとわく)
は
売薬(△20)・練薬(ねりぐすり)
に
にしん・にがり
ほ
干紫蕨(ほしむらさきわらび)
へ
品目記載なし
と
燈椛(ともしかば・燈樺(ともしかば)。燈火用の樺の木の皮)・とふみ(唐箕)・戸棚(とだな)・
心太草(ところてんくさ)
ち
中茶(一駄または一荷の量によって、一一〇斤・一〇五斤・一〇〇斤、四五斤・四〇斤・三五斤等およそ
一八項目に分けて口役銀の規準が定められているが、詳細は読み取れない。)
り
林檎(りんご)(一駄六斗・八分五分弐毛)
ぬ
ぬべし
を
筬(おさ・織機の付属具)
わ
山葵(わさび)
か
皮箕(かわみ)・鰹節(かつおぶし)・柿紙(かきがみ・柿渋紙(かきしぶがみ))・からかさ・草刈鎌(くさかりがま)・川魚(かわうお)
よ
夜着(よぎ)
た
大豆(だいず)・烟草(たばこ)・大根種(だいこんだね)・箪笥(たんす)
そ
蕎麦(そば)・素麺(そうめん)
な
小梨子(こなし)・鈆(なまり・鉛)
う
馬(当年他国出し)・鰻(うなぎ)・牛
の
のべ綿(わた・真綿(まわた))
や
薬種(やくしゅ)
ま
絸ひび(まゆひび・最下級の繭)
(繭の項なし。繭や生糸にかかる税は、仲買人がまとめて運上金として御役所へ納める仕組みになっていた。)
ふ
古手(ふるて・古着)
こ
米・紺屋藍鉢(こんやあいばち)・同粉藍(こなあい)
あ
麻苧(あさお)・鮎(あゆ)・あらめ・小豆(あずき)・灰汁灰(あくばい)・油荏(あぶらえ)
さ
薩摩芋(さつまいも)・さわし柿(がき)・酒粕(さけかす)
き
黄綿(きわた)・黄檗(きはだ・胃腸の薬。染料)・金魚・ぎす籠(かご)
み
蜜柑(みかん)・柚子蜜柑(ゆずみかん)・見世物睍の類(?)・水鉢・砥小箱(みがきこばこ)
し
汁杓子(しるしゃくし)・生姜(しょうが)・鮪(しび)
ひ
稗(ひえ)・桧笠(ひのきがさ)
も
木綿笠(もめんがさ)
せ
瀬戸物(せともの・天目(てんもく)・瀬戸片口(せとかたくち)・盃(さかずき)との類別あり)
す
酢(す)