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[小白川口番所諸口役銀取立壁書]

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岐阜県歴史資料館・飛騨郡代高山陣屋文書1-55-3 (5-1-1 図 ⑭)

5-2-(17)-1 小白川口番所口役銀取立壁書

 「茂住・和佐保口留番所壁書」が金森藩領国時代の面影を残しているのに対して、この「小白川口番所壁書」の終わりの頁には
 
 天明四稔(年)甲辰八月調之
 
と書かれていて、幕領期の後半に作成されたものと考えられる。
 書式も、品目を「いろは順」に分類して、徴収額を挙げていて、品目の数も五〇〇を超えている。
 それだけ商品の流通量が増えたとも考えられるが、必要以上に品目の細分化が図られたり、同じ品目が
 入たばこ・たばこ・刻たばこ、大豆(おおまめ)・大豆(だいず)、小豆(あずき)・小豆(しょうず)
などのように、異称や文字の違いで二重に記載されているものが多い。
 小白川口は白川郷と越中とを結ぶ交通の要所で、『新版白川村史』はこの街道を「米の道」・「塩の道」と称してその重要性を強調して、次のように米の搬入例を示している。
 
  小白川口、月別・搬入者別米の搬入量
元治元年
 四月二十一日  六石四斗  飯嶋村  佐助
         二石四斗   〃   七蔵
   二十二日  一石六斗  内ヶ戸村 助一郎
         三石二斗  城端町  与七郎
   二十三日  四石〇斗  荻町村  五兵衛 外九人
   二十六日  六石四斗  城端町  惣右エ門
   二十八日    八斗  飯島村  七蔵
         二石〇斗   〃   長八 外四人
   二十九日    六斗  城端町  清左エ門
         一石〇斗   〃   平兵衛
           八斗   〃   勘四郎
         二石四斗   〃   喜助
   小 計  三一石六斗
 そして、一年間分を合わせると、白川郷二三か村で年間二六〇石余の米を買い入れ、一戸当り約一石となる、とも記述している。
 同村史はそのほかの食料や魚の搬入量も提示して、見返りとして白川郷からは煙硝と繭・山菜等の移出量を記述している。
 しかし、白川口留番所を往来した物資の品目数は、実際には、「壁書」のそれの一〇分の一以下であったと推定される。
 
〔表紙〕
 
   諸口役銀取立御壁書
   小白川口御番所附
         原治兵衛
 
〔壁書の形式〕
 
 い
 一 糸 百匁       銀八分
 一 鰯 百        同壱分五厘
 一 いしもち 拾(と)ヲ  同壱分八厘
 
〔壁書記載品目名〕
 い
糸・鰯(いわし)・いしもち・岩茸(いわごけ)・筏のかぢ(いかだのかぢ)・猪の皮(いのししのかわ)・
伊勢海草(のり)・稲扱(いねこき)・硫黄(いおう)・芋種(いもだね)・糸枠(いとかせ)・板折敷(いたおしき)・
入たばこ・壱升鍋・いなた・石皿・猪の皮
 は
張箱・はちめ・蛤・はまち・はご板・箸・鳩・売薬
 に
にがり・にく(ママ)の皮・にいし・にんにく・弐升鍋・人参
 ほ
干大根・干こんにやく・干ぜんまい・ほうづき・干柿・干葉・棒(ママ)・朴の皮・干ぢこう・
干〆治(ほししめじ)・干舞茸(ほしまいたけ)
 へ
紅皿(べにざら)・縁取(へっとり)
 と
鰍(どじょう)・鳥籠・砥の粉(とのこ)・燈かば(ともしかば・燈につかう白樺の皮)・心太草(ところてんぐさ)・
閉箱・閉折敷・燈油・木賊(とくさ)・燈心(とうしん)・徳利(とっくり)・との口笠
 ち
ちりめん・中馬・中牛・中茶・ぢわうせん・重箱・茶の花・茶碗・中平釜・中鯉・中黒鯛・中たこ・中熊の皮
・中鮒・中魚・中あわび・地呉服
 り
里んご・琉球(りゅうきゅう)
 ぬ
布・ぬきみ・糠梅免・塗折敷・抜手綿・塗壱升樽・塗弐升樽・塗三升樽・ぬべし
 る
るかす(留糟。鉱物の灰吹きの時出る糟)
 を
桶輪竹・大簀(おおすのこ)・筬(おさ)・大木地鉢・績桶(をおけ)・大鍔釜(おおつばがま)・大平釜・大茶釜・
大熊の皮・大黒鯛・大たこ・大豆(おおまめ)・大鮒・大鯉・大鰈(おおかれい)・大あわび・大鮭・大鯖・
大雪踏(せった)・大やくわん(やかん)・大王魚・大梨・苧桶(をおけ)
 わ
わらんじ(わらじ)・椀木地・黄蓮・老日・わかめ・蕨の花(蕨粉)・綿・わげ・山葵(わさび)・わらみの
 か
唐戸・刀大小・かんぴょう・から笠・干鮭(からざけ)・鰹節・かき・鰹魚・鴈(がん)・かも・搗栗(かちぐり)・
榧(がや)・からし・皮箕・から粉・かきがみ・皮足袋・数の子・蒲(がま)はばき・帷子(かたびら)・鍛冶炭・
皮栗・合羽(かっぱ)・剃刀(かみそり)・蚊屋・糀・かながしら(海魚の一種)・鉋の台(かんなのだい)・髪の油・
からふと(樺太玉の略・刀の緒締めなどに用いる)・鏡の家(鏡箱)・かし桶・から櫃(びつ)・甲鉢・笠緒・革緒・
紙屑・楮(かうぞ)・かまぼこ・貝がら・皮籠
 よ
夜着・よき(斧)・寄染草・寄なし物(?)
 た
鱈・田作(たつくり)・たてまだら・たまり・大根種・大豆・たばこ・たがね・竹箕・竹篩(ふるい)・畳表・卵・
丹波ござ・竹の皮・竹・竹籠・他呉服・伹馬ござ
 れ
連着(れんじゃく)
 そ
草履・蕎麦・素麺・染藍・染付皿・そうけ(しょうけ・ざる)
 つ
厨子(づし)・葛籠(つたかご)・付木(つけぎ)・つるし柿・つのじ(鮫の異称)・鶫(つぐみ)・つまげ(桶?)・紬・
漬瓜
 な
梨子・大梨子・長刀(なぎなた)・長持・鉛・山刀(なた)・なまこ・生栗・茄子(なす)・
菜刀(ながたな・野菜を切る包丁)・七ツ入子(いれこ)・生烏賊(なまいか)・生鯨
 ら(ろ)
蝋燭(ろうそく)・蝋
 む(う)
馬の尾篩(ふるい)・莚(むしろ)・馬の皮・馬のはさみ・馬・梅・むやし
 う
牛の皮・牛・瓜・饂飩(うどん)の粉・団扇(うちわ)・漆・うるか・鴬・うづら・植木・繻(うすぎぬ)
 の
のどぐろ・のし・のり・糊はけ・乗鞍(のりくら)・乗物
 く
鍬がら(鍬の柄(え))・桑名盆木地・桑名盆・桑箱・くし・車海老・串柿・くねんぼ(みかんの一種)・桑の葉・
串あわび・くくたち(茎立。スズナやアブラナのとう)・胡桃(くるみ)・菓子(くわし・かし)・草刈鎌・鍬・釘・
櫛箱・櫛・轡(くつわ)・具足・くもたこ・屑紙(くずがみ)
 や
山漆の実・山鳥の尾・山鳥・鑓(やり)・山雀(やますずめ)・山駕籠・山の芋
 ま
抹香・丸・丸竹・舞茸(まいたけ)・絸(繭)ひび(まゆひび)・松茸・まぐにのこ・絸(まゆ)・的弓・槇皮
 け
けんどん箱・下茶・下牛
 ふ
ふし(鰹節)・鰤・ふいご・古銅(ふるあか)・古手(ふるて・古着)・ふとん・ふのり・
無塩大鯛(ぶえんおおたい)・無塩中鯛・無塩小鯛・無塩鱒・無塩ふぐ・無塩大ぼら・
無塩中ぼら・無塩小ぼら・無塩鰤・無塩鯨・無塩鮭・無塩すずき・古鉄
 こ
木挽のこ切(こびきのこぎり)・このわた・鮗(このしろ)・こち・小鳥・昆布・小木地鉢(こきじばち)・
牛蒡(ごぼう)・こんにやくいも・蚕糞(こぐそ)・御所柿・米・小刀・紺屋藍鉢・小鉢・御座(ござむしろ)・
小雪駄(せった)・こり(行李)・小倉帯・小間物・蚕種(こだね)・木舞(こまい)・胡墨・胡麻(ごま)・
こつら篩・小箕(こみ)・こへ灰・小鮒・小たこ・小魚・小鯉・小黒鯛・小鰤・小熊の皮・小やかん・小麦・
小鍔釜・小平釜・小茶釜・小かも・小桶・小ちやうちん・駒鳥・小鰈(こかれい)・小あわび・小鯖・
小鯖の鮓(すし)・小鱰(しいら)・五升鍋・小ちやうちん
 て
天目・手習筆・鉄・手習墨・手桶
 あ
足駄(あしだ)・編梯(あみはしご)・あんこう・鯵の鮓(あじのすし)・鮎の鮓(あゆのすし)・鮎・あらめ・あめ・
麻種(あさだね)・油荏(あぶらえ)・麻苧(あさお)・あく灰・銅せんば(あかせんば)・赤湯・銅(あかがね)・
小豆・粟・□□・鐙(あぶみ)・浅黄椀・銅かんなべ(あかがねかんなべ)・編笠・行燈(あんどん)・あかし松
 さ
刺鮭・鰆(さわら)・さより・さざい・さわし柿・砂糖・さすが(山刀)・酒の粕・さし椀(箱椀)・さつ・酒・
肴籠・三升鍋
 き
絹・雉子(きじ)・絹どをし・きせる・黄綿・絹帯・狐の皮・きはだ・曲録(きょくろく)・黄綿の実・
木耳(きくらげ)・桔梗(ききょう)・切つち(きりつち・農具)・刻昆布(きざみこんぶ)・刻大根・切干蕨・
刻たばこ・芹量(きんりょう・小型のはかり)
 ゆ
柚子(ゆず)・ゆりわ・湯桶・ゆり板(籾をゆりわける農具)
 め
食次(めつぎ)・面桶・食杓子(めししゃくし)・食櫃(めしびつ)
 み
蜜柑(みかん)・耳組御座(みみくみござ・ござの類)・実・蓑(みの)・水さし・味噌・水桶・蜜柑の皮
 し
鮪(しび)・白魚・鱰(しいら)・鹿・生姜(しょうが)・塩・しぶきやう・鹿の皮・しゆろう箒(ぼうき)・
鹿の角・渋・鴫・松煙(しょうえん・墨の原料)・諸紙・渋柿・汁杓子・塩鯵・しなの皮・塩鮭・塩すずき・
塩大ぼら・塩中ぼら・塩小ぼら・上茶・塩かも・塩大鯛・塩中鯛・塩小鯛・塩うなぎ・塩鱒・四升鍋・
生麩(しょうふ)
 ゑ
荏粕(えかす)・絵馬・塩硝・越中椀
 ひ
桧耳・笠・ひらめ・鉢・柄杓(ひしゃく)・広手拭(ひろてぬぐい)・雛並道具・稗・櫃荷(ひつぎに)・
干いわし(ひいわし)・干鯖・火打茸・ひじき・干鱈(ひだら)・干鰤・桧笠・干ふぐ・屏風(六枚)・同(古)・
同(弐枚)・ひわ
 も
もろぶた・木綿足袋(たび)・木綿・木綿嶋・木綿単物・木綿帯・木綿袴
 せ
瀬戸片口(かたくち)・膳・瀬戸皿・銭・せんこう・扇子
 す
錫・硯・炭・すわう・酢・摺鉢(すりばち)・硯大小・水風呂釜・菅笠・ずいぼ鱈・菅筵(すげむしろ)・
李(すもも)