5-2-(20)-2 小豆沢口御番所口役銀取立品目一覧表 |
①嘉永2年(1849)11月分(新暦の12月15日~1月12日にあたる) | |||||
◎ 小豆沢口を通って飛騨から越中側へ売り出されたと考えられるもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主・出身地等 | |
1 | 楮(こうぞ) | 70 | 2,721.6貫 | 556匁6分6厘 | 巣納谷・桑ヶ谷・小野・杉原・小豆沢等のほかに、越中八尾の商人も多い。 |
2 | 出煙草(でたばこ) | 7 | 412斤 | 21匁8分4厘 | 越中八尾6件320斤・加賀沢村八三郎92斤 |
備考 | ○国内産の楮は、山中紙・高山紙の需要にあてられたほか、美濃紙・越中紙の原料として、国外からの買い付け分も多かった。 | ||||
○入煙草・出煙草に分けて記帳されている。出煙草の中には信州産のものも混じっているかもしれない。 | |||||
◎ 小豆沢口を通って越中側から飛騨へ入ったと考えられるもの (一)食品 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主・出身地等 | |
1 | 米 | 43 | 91石5斗2升 | 183匁 4厘 | 12石、8石、7石等の例もあるが、大半は3斗~1石前後の飯米である。 |
2 | 大麦 | 1 | 6斗 | 1匁 8厘 | 巣納谷村長介 |
3 | 大豆 | 1 | 4斗 | 6分8厘 | 巣納谷村平助 |
4 | 干鰯(ひいわし) | 2 | 670(尾) | 9分6厘 | 越中八尾 |
5 | 小鯖(こさば) | 2 | 670(尾) | 1匁8分1厘 | 越中八尾 |
6 | 刻こんぶ (きざみこんぶ) | 2 | 3.6貫 | 1匁 2厘 | 越中八尾 |
7 | 田作(たつくり) | 2 | 3斗 | 8分2厘 | 越中八尾 |
8 | 糀(こうじ) | 1 | 1斗3升 | 2分 | 越中八尾 |
備考 | ○肴類の記録が意外に少ない。肴類は越中東街道を通って大量に飛騨へ運ばれた。 | ||||
○ほかに「荏粕(えがす)80目・桑ヶ谷村次郎兵衛」の記録があるが、その使用目的がよくわからない。 | |||||
◎ 同上 (二)衣料 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主・出身地等 | |
1 | 木綿(もめん) | 4 | 166反 | 34匁9分 | 越中星野・八尾方面の商人 |
2 | 古手(ふるて) | 1 | 4ッ | 1匁2分4厘 | 越中八尾 |
備考 | ○冬に向かう時期に衣料の移入が少ない。衣類も自給自足。木綿・古手などの買い手は町場に多かったと考えられる。 | ||||
◎ 同上 (三)小間物・雑貨類 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主・出身地等 | |
1 | 売薬 | 2 | 600目 | 4分8厘 | 越中富山 |
2 | 入煙草 | 2 | 52斤 | 5匁1分1厘 | 越中片掛・蟹寺 |
備考 | ○売薬行商は、この期には少ないかもしれない。 | ||||
○入煙草の行先は不明であるが、古川町か高山町と推定される。 | |||||
◎ 白木稼ぎ(橅椀木地) | (椀木地1箇=102貝) | ||||
品 目 | 記帳件数 | 数量 | 稼人(荷主)名前等 | ||
①十一月中移出分 | 橅椀木地 (ぶなわんきじ) | 1 | 20箇 | 高山町千虎屋弥右衛門(後老田屋) | |
〃 | 1 | 25箇 | 一之宿村中嶋清左衛門 | ||
〃 | 1 | 20箇 | 桑ヶ谷村次郎兵衛 | ||
②申請十一月未移出分 | 橅椀木地 | 1 | 20箇 | 高山町千虎屋弥右衛門(後老田屋) | |
〃 | 1 | 20箇 | 一之宿村中嶋清左衛門 | ||
〃 | 1 | 20箇 | 桑ヶ谷村次郎兵衛 | ||
①は御役所へ申請して許可を得た分のうち、11月中に小豆沢口を通って出荷した分。 | |||||
②は許可されたがまだ未出荷の分。※白木は運上金を納め、口役銀は取られていない。 |
②明治2年(1869)4月分のうち1日~7日の分(新暦の5月12日~18日にあたる) | |||||
◎ 小豆沢口を通って飛騨から越中側へ売り出されたと考えられるもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主・出身地等 | |
1 | 干紫蕨 (ほしぜんまい) | 4 | 17貫 | 永 37文8分 | 越中八尾商人 |
2 | 中馬(ちゅうま) | 2 | 3疋 | 永 33文 | 西忍村・越中□□村 |
備考 | ○この口役銀取立帳は永勘定で記帳している。荷主からは従来通り銀勘定(銀と銭)で取立て、あとで永勘定に換算して記帳したのであろう。1両=永1000文≒銀60匁が算率である。 | ||||
◎ 小豆沢口を通って越中側から飛騨へ入ったと考えられるもの (一)食品 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主・出身地等 | |
1 | 米 | 2 | 3斗4升 | 永 9文7分 | 越中八尾 |
2 | 大麦 | 3 | 9斗5升 | 永 28文 | 越中八尾・富山 |
3 | 味噌 | 1 | 7升 | 永 7文2分 | 越中八尾 |
4 | 酒 | 8 | 5斗1升 | 永777文 | 越中八尾・富山 |
5 | いわし | 11 | 4,950(匹) | 永192文7分 | 越中八尾・水橋・大久保 |
6 | 無塩鱒(ぶえんます) | 2 | 2本 | 永292文6分 | 古川町村・越中富山 |
7 | 田作(たつくり) | 1 | 2斗 | 永 9文 | 越中富山 |
8 | 菓子 | 1 | 4貫 | 永 19文3分 | 高山・若達町 |
備考 | ○無塩鱒は各1本と記帳されているが、口役銀が1本で146文3分は高すぎる。無塩鱒10本の誤りか。 | ||||
○わずか7日間の記録をみても、冬期に比べて、通行荷物が急増していることがわかる。 | |||||
○米は11月・12月の安い時期に買い入れておくのであろう。この期の買入れ量は少ない。 | |||||
◎ 同上 (二)衣料・小間物・雑貨など | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主・出身地等 | |
1 | 木綿(もめん) | 2 | 12反 | 永142文 | 越中八尾10反・高山2反 |
2 | 小間物(こまもの) | 6 | 2貫 | 永100文 | 高山八幡町の1人のほかは、越中八尾と富山の人たち |
3 | 畳表(たたみおもて) | 5 | 680枚 | 金 1分と 永 34文 | 越中富山と八尾 |
4 | 唐紙(からかみ) | 1 | 20枚 | 永 45文7分 | 越中八尾 |
5 | 笠緒(かさお) | 2 | 2,200筋 | 永150文 | 越中大久保 |
6 | 二升鍋 (にしょうなべ) | 1 | 4枚 | 永 14文7分 | 越中上布 |
備考 | ○衣類関係の品目の往来が少ないのは季節の関係か。生産量の関係か。国内の南北で大きな違いがある。 | ||||
○笠緒の移入が南北とも量が多いが、品種・用途・販売ルートなどよくわからない。 | |||||
◎ 移出・移入の別、及び需要目的が不明なもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主・出身地等 | |
1 | 新鉄(しんてつ) | 4 | 60貫 | 永150文 | 越中大久保 |
2 | 硫黄(いおう) | 1 | 18貫 | 永 69文 | 越中□□ |
3 | 入銭(いりぜに) | 2 | 45貫 | 永 42文5分 | 越中八尾 |
備考 | ○他の口番所口役銀取立帳には古鉄の記帳はみえるが、新鉄移動の意味はよくわからない。 | ||||
○火薬の原料である塩硝や硫黄も統制がゆるめられて市場を往来した時期もあるが、荷主が他国(越中)の人物なのでこの項へ入れた。 | |||||
○古銭、特に飛騨においては入銭の研究はまだ進んでいないので、不明の項へ入れた。 |