岐阜県歴史資料館・飛騨郡代高山陣屋文書1-55-30-1
諸口役銀取立帳は、それぞれの口番所が取り立てた口役銀を毎日口役荷物ごとに記録しているが、この増減帳は月ごとに前年あるいはそれ以前の取立額と比較して、増の組、減の組と二つに大別して記帳し、飛騨全体の口役銀の取立が増であったか減であったかを記録して幕府勘定所へ提出したものである。
この増減帳が取立帳と大きく違うところは、取立帳は銀勘定であるのに対して、増減帳は金勘定(年貢割付・年貢皆済状と同じ)で記録されている点である。農民や町人は日常生活の中では金を使ってはならない建前になっていたからである。
番所ごとに記載されている名前は番所役人の名前である。
天保十年 口役金月々増減帳
正月増の分
上ヶ洞口
一金弐両永拾八文八分 松村次郎蔵
御厩野口
一金壱両永百六拾七文三分 飯山宇年
門和佐口
一永百九文弐分 松村作左衛門
福来口
一永四拾四文八分 左田頼助
下馬瀬口
一永百六拾八文七分 大坪金三郎
大原口
一金三両永六拾五文五分 住為右衛門
野々俣口
一永七拾七文弐分 市村近次
小豆沢口
一永拾弐文五分 岩城七兵衛
中山口
一金三両弐分永百六拾四文三分 山内五作
上村孝助
荒田口
一永六拾四文三分 沢田権之丞
小以 六両弐分百四拾弐文九分
同月減の分
下原口
一金壱両三分永百弐文 岩水彦左衛門
不破半平
上馬瀬口
一金弐分永百弐拾八文 二村処助
小以 金弐両壱分永弐百三拾文
差引
増 金四両永百六拾九文四分 去ル戌ニ増
(註「去ル戌」は天保九年)
戌二月増の分
上ヶ洞口
一金弐分永拾九文八分 松村次郎蔵
御厩野口
一金三両三分永四拾九文四分 山内小十郎
門和佐口
一金弐分永三拾三文七分 松村作左衛門
大原口
一永百七拾五文五分 住為右衛門
野々俣口
一永八拾文弐分 市村近次
小豆沢口
一金弐分永五拾三文八分 岩城七兵衛
差引
金拾両永九拾弐文五分 去ル酉増
(註 去ル酉は誤記か)
三月増の分
上ヶ洞口
一金壱分永百五拾八文四分 直井彦右衛門
御厩野口
一金壱両永四拾三文三分 山内小十郎
門和佐口
一永弐拾壱文五分 指田浅之助
下馬瀬口
一金壱分永弐拾三文五分 青山友三郎
大原口
一永百弐拾三文七分 石黒次太夫
野々俣口
一永九拾七文五分 田中利一郎
午首口
一永三文八分 和田弥右衛門
羽根口
一永八文八分 西惣七
小豆沢口
一永五拾壱文三分 富田小藤太
中山口
一金弐両永百五拾九文八分 山崎十郎右衛門
荒田口
一金三両壱分永弐文 今井権右衛門
小以 七両壱分永百八拾四文六分
同月減の分
福来口
一永百三拾九文 田中唯右衛門
下原口
一金壱両永百八拾六文九分 飯山三郎兵衛
不破半平
上馬瀬口
一永百拾九文弐分 二村丈助
二ッ屋口
一金壱分永弐文 松井惣兵衛
小以 金壱両弐分永百九拾七文三分
差引
増 金五両弐分永弐百三拾七文五分 去ル戌ニ増
外永八文八分 羽根口増減無し
去四月増の分
上ヶ洞口
一金壱分永拾六文弐分 直井兵左衛門
御厩野口
一金壱両弐分永五拾四文八分 山内小十郎
下馬瀬口
一永四拾八文五分 青山友三郎
大原口
一永三拾八文弐分 石黒次太夫
寺河戸口
一永六拾壱文 吉住次三郎
野々俣口
一永百三文六分 田中利一郎
小白川口
一金三分永百七拾壱文五分 飯村□次郎
小豆沢口
一金壱分永拾壱文五分 富田小藤太
中山口
一金壱両永弐百拾五文七分 山崎太右衛門
小以 金四両壱分永弐百拾六文
同月減の分
門和佐口
一金弐分永百八拾五文七分 指田依之助
福来口
一永六拾六文三分 田中九郎右衛門
下原口
一金壱両弐分永百五拾五文六分 飯山三郎兵衛
不破半平
上馬瀬口
一金壱分永拾弐文五分 二村丈助
あら田口
一金三両壱分永弐拾五文三分 今井唯右衛門
中尾口
一永弐拾六文七分 詰合なし
小以 金五両三分永弐百弐拾弐文壱分
差引
減 金壱両弐分永六文壱分 去戌減
(以下、月別差引高を記す)
亥五月増の分
小以 金壱両弐分永百弐拾弐文弐分
同月減の分
小以 金拾両壱分永百七拾弐文弐分
差引
減 金八両三分永五拾文 減
亥六月増の分
小以 金四両弐分永百弐拾四文九分
同月減の分
小以 金四両弐分永四拾九文四分
差引
増 永八拾文七分 去戌増
七月増の分
小以 金四両三分永百五拾四文九分
同月減の分
小以 金拾両三分永七拾壱文
差引
減 金六両三分永百六拾六文弐分 減
八月増の分
小以 金七両壱分百拾三文九分
同月減の分
小以 四両壱分百五拾四文三分
差引
増 金弐両三分永弐百九文弐分 去戌増
九月増の分
小以 金拾両弐分永四拾五文六分
同月減の分
小以 金五両壱分永百八拾七文八分
差引
増 金五両永百七文八分 去戌増
十月増の分
小以 金拾四両弐分永六拾三文壱分
同月減の分
小以 金四両三分永百六拾五文七分
差引
増 金九両弐分永百四拾七文四分 去戌増
(註)増分のうち 下原口 拾壱両弐分永百六拾九文壱分 がある。
十一月増の分
小以 金拾五両弐分永四拾三文八分
同月減の分
小以 金拾七両三分永百九拾八文弐分
差引
金弐両壱分永百五拾四文四分 去戌減
(註)増 下原口 金拾三両三分永百七拾八文
減 中山口 金八両弐分永四拾九文
減 荒田口 金六両弐分永五拾七文
中山口・荒田口 口役銀大量減の理由は不明
十二月増の分
小以 金九両弐分永弐百三拾六文五分
同月減の分
小以 金七両弐分永百四拾三文四分
差引
金弐両永九拾三文三分 去戌増