町長 菅澤重矩
町村合併促進法のもとに、多古町は五カ町村の合併を実施し、新しい多古町が誕生して三十周年を迎え、町の基盤もいっそう整ってまいりました。
ちょうど二十周年を迎えた昭和五十年に、その記念事業として企画したものの一つに「農工商調和のとれた、緑豊かな田園都市」を象徴した町章の制定があり、そしてもう一つが昭和五十一年四月から着手した「多古町史」の編さんでした。
合併以前の町村にはそれぞれの歴史があり、またその町や村が生成するまでにはさらに長い過去の歴史があります。大地が形成され、そこに栗山川が遙かに一水、帯の如く清い流れをただよわせたその時から、この沿流の地の歴史が始まっています。われわれはこの貴い歴史を大切にしなければなりません。
当初は五カ年の計画をもってこれに取組みました。しかし、資料を集めれば集めるほどさらに深く探求しなければならなくなり、ついに九カ年の歳月を要しました。幸いに執筆者および編集委員各位のご協力を得てこのほどその完成を見るに至りました。
古代からの先人たちが一歩一歩築いてこられた社会、中世・近世そして現代にと、一連の糸のように続いてまいりました貴い歴史を一巻の本にまとめ、現代の人々にそして後世の人たちにも残しておきたいと思います。
祖先の残されたその歴史を学びながら、多古町が将来に向かって大きく飛躍することを期待して発刊の辞といたします。