巻上げ法による土器の形は尖底か丸底で、形の変化に乏しい。これは縄文式土器の早い時期に造られている。輪積み法が縄文式土器の主要な技術で、その器形は円筒形の平底である。
縄文式土器の製法はふつう早期・前期・中期・後期・晩期の五期に分けるが、中期以後形は大きく複雑に、種類も豊富になり、装飾も進歩している。口の開いた皿や鉢の類、筒型の深鉢が造られ、把手や注口(ちゅうこう)が付けられるなど、その発達のさまを見ることができる。
林遺跡出土、縄文中期の阿玉台式土器
関東地方では、縄文式土器はその最古のものから最終段階のものまで見ることができる。それは年代によって形その他が異なるので、発掘された地域の名をとった型式の表によって土器の年代を表わすことになっている。現在、関東地方の表は最も整備された編年表であるため、全国の縄文式土器の年代を測る基準となっている。
石器は狩猟や漁撈に最も重要な道具であり、また外敵に対する武器でもあった。打製石器が一般に用いられたが、末期になってからは磨製石器も普及するようになっている。石器の種類には、石材の剥(はく)片を細かく打ち欠いて作る石刃(じん)・石匕(ひ)・石錐(すい)などの鋭利な小型石器、礫(れき)の核心部を打ち割って作る打製石斧(ふ)・石槍などの大型石器、また細長い石材で作られる石棒や、扁平な石の中央を低くくぼませて作った石皿や石臼などがある。
鋭利な石器の出現は木材の利用法を発達させた。立木の根元を徐々に焼きこみながら切り倒した大木は、石斧で枝を払い、皮を剥ぎ、石槌などで打ち割られて、丸木舟や建築用材に使用されたと思われる。
多古町域では、南玉造字馬場の台、北中字淀台(よどだい)で出土した縄文時代の石器を地元民が保存しているのが数点あるが、まだ調査されていない。