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神域の小祠・石碑

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 この森の木蔭には、次の石宮が点在している。
 青麻(あおす)大権現 「願主惣村中 高津原菅澤杢左衛門 万延二年(一八六一)正月吉日」と刻まれているが、そのいわれはわからない。
 五穀豊穣の神で、本営は福島県原町市にある。この神は自から各地を巡り、適地を卜して分祀されるということであるが、全国的にも数少ない社である。
 並んで、「奉造立石宮一宇未願成就 藤崎宇平 享保元年丙申(一七一六)九月吉日」の石宮があり、椎の古木の下に、刻字の剥落した「水神様」と呼ばれる石宮がある。
 白幡大明神 「文化五年辰(一八〇八)三月吉日」とある。この神は八幡様と異名同神の応神天皇、神功皇后である。護国神、または武神として源氏が氏神として崇め、戦勝記念に白旗を奉納したのが名の興りであるといわれている。
 稲荷宮 「祭主惣村中 文政十三年庚申(一八三〇)二月吉日」とあり、祭神は宇迦之御魂命である。本社は京都府伏見区稲荷山であるが、あるいは、松崎稲荷講中の人達が、松崎神社から分祀したものであるかもしれない。
 他に、熊野社、津島社、香取社、鹿島社、古峯社が祀られているが、いずれも昭和三十三年十一月に建立(再建)されたものである。このうち古峯社については、火災・盗難除けの神として知られているが、本社(鹿沼市)参りで雨に降られたとき貸して貰った傘は、雨が止んだのち道端の他家の軒先に置いておくと、後日必ず神社に返っているという。これは、神の使いである天狗が集めるためで、同じように、信心の厚い者は盗難にあっても、いつかは天狗がその金品を持って来てくれると信じられている。
 このほか、境内には「宝暦七年丁丑(一七五七)九月吉日 御宝前願主教遍」と刻まれた手洗い、一対の燈籠、唐獅子、久賀小学校御真影奉安殿であった欅造りの小宇、明治三十九年二月末建立の「日露戦争戦没記念碑」などがある。