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石井三郎右衛門家

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 堂は字中里三六八にある地蔵堂で、前記の観音堂と道路をはさんで相対している。
 この場所に来て北側を望むと、ここは旧城と結ばれた一連の城跡であることがはっきりとする。旧城跡から東へ延びる築堤が、いまなお、一〇メートルあまりの高さで続き、そして、脚下の空堀跡と思われるあたりから人家が建ち並んでいる。
 かつての堂は朽ちたまま再建されなかったが、本尊は板囲いのない屋根の下とはいえ、昔日そのままの温顔をたたえている。石の立像であるがその造り方が少し異なっていて、躯体部が縦半分に割れ、その内部に座姿木像を一体抱いた地蔵尊である。いずれにも刻字がなく、開眼の時代は明らかでない。