堂は字新田道ノ上八二八にあり、法華堂である。旧佐原街道が五十塚を経て側高神社の前を過ぎ、村の中心部から左に曲ると宇新田に入る。その道路沿いの小高い所にあるのが、この法華堂である。
入口付近には小さな道祖神が祀られていて、旧街道の面影を偲ばせている。斜面を削り取った台地上で、一方は杉に、一方は竹に覆われている。
この道祖神は足の病いに霊験あらたかで、なぜか「直衛門道祖神」と呼ばれている。その昔の願主であったのかもしれないが刻字は摩滅して神名も読めない。
この堂はもとからの法華堂ではなかったようである。ある時代に、鎌形家総領である縫右衛門が西徳寺住職と意見を異にし、氏族ともども真浄寺へ宗旨替えをしてしまった。そして、その後に自費で建てたものがこの堂であるといわれている。したがって村内の日蓮宗はこの一族だけである。
毎月十六日の御祖師様の降誕日には、老人達によってお題目が唱えられるなど、宗旨に関する諸行事はすべてこの堂で行われている。