堂は不動堂である。字戸崎二七三番地で西徳寺山門の右手にあたり、木の葉の間から栗山川対岸の栗源町を眺望する高台に建てられている。
地内には天に突き抜けるほどの樅の大木や、椎の古木があり、その下に遠藤一族の歴史を物語る石塔群、西徳寺歴代住職の卵塔が並んでいる。
かつては遠藤家だけの墓地であったが、明治の改革によって石塔場になり、さらに西徳寺鐘撞堂の裏にあった歴代住職の墓が、道路改修によって、ここに移されて現在の形になったという。
地内に建つ堂もそうである。不動堂と称して、遠藤家だけの信仰の対象であったが、いつの頃からか石井家の地蔵堂と合併されて、通称「念仏堂」と呼ばれるようになった。
毎年一月二十七日、七月二十七日の両日には、村内の善男善女が集まって読経供養をし、これを遠藤家が接待している。