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由緒・縁起

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 明治十二年調べの『神社明細帳』によれば、「祭神は宇迦之御魂神、由緒不詳、社殿竪五尺横四尺、拝殿六坪、境内九〇坪、氏子二二戸、境内立木目通り二尺以上の木二四本、最も大きいのは楠木で目通り一丈、枝下長さ四間」と記されている。
 稲荷神社は全国に三万余社あるといわれるほど信者層の厚い神社で、総本社は、京都市伏見区稲荷山に鎮座する伏見稲荷大社である。
 祭神宇迦之御魂尊は五穀をはじめ、すべての食物や蚕桑を司る神で、「稲生(いねな)り」から転化して「イナリ」となったといわれ、米を主食とするわが国では当然のことながら自ずと稲荷信仰と強い結びつきが生まれ、中世からは殖産興業の神、商業の神と拡大され、農村だけでなく、市中にまで祠られるようになった。
 この産土社は由緒不明のため、いつどこから分祠されたか不明であるが、昭和五十一年に、枯死したために惜しくも伐採された御神木は、年輪三五〇を数え、目通り四・六メートル、高さ二九・七メートルあった。また口伝によると、関東第一の稲荷社としての社格を誇る松崎神社と兄弟社であるともいわれ、本殿には「大正四年九月大隅門人香取半蔵年七十刻之」とある。