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「知らせの松」

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 鳥居前の県道を東ヘ一〇〇メートルほど行くと左手に大きな石柱があり、そのかたわらの塚上に、一本の巨松が根を下している。その天空をよぎる枝ぶりは、遠く仰ぎ見なければ視野には入らない。

知らせの松

 これが「常磐の松」で別名「知らせの松」と呼ばれ、葉の変色度合いによって村へ凶事を知らせると伝えられ、平忠常の乱で社殿が焼けた後、長暦元年(一〇三七)に再建されたときの記念樹であるという。
 この松も、昭和五十四年から全国的に曼延した松喰い虫の被害を受けてその葉色を変えたため、枯死寸前の十二月二十六・七日に二日がかりで伐採された。そのときに実測した大きさは神社総代の談によると目通り約五メートル、全高約二〇メートル余り、年輪は五七〇まで数えられて、なお中心部は三〇センチほどが空洞になっていたということである。