村の里唄で、数え歌か手鞠歌のように唄われたものでもあろうか。作者とともにその節まわしは不明であるが、集落内の小字名が全部読み込んであり、「東松崎小字しるべ」ともいうべきものである。
処は高砂や、尾の上の松の常右衛門、大戸の宿や西の内、今年はそいで作の内、出羽も入歯もにこ/\と、笑ふ加都には福来る、沖を見晴す顕実寺、冨士の高根の白酒に、まさる戸城の新酒かな、下た内ならして池の端、新田神女は池の端、松葉さかゆる千歳川、沖を見晴す遠見塚、寺句浦辺の浪穂かな、いすべ見毎の花井戸や、引越の辺田もかたよれば、堤を横に蟹井戸や、蟹のいとざる神田こそ、みん妙の山に立田川、こゝに名高き八王子、言葉に末もなく丸峰、常磐の松は色深く、はなわ盛りの立下は、丸峰越えて島の先、砦なりわいにいたしめば西の端まで富貴谷、金銀塚の山なして、豊けき御代こそ、長洲なり