樹木の密生する斜面中腹にあって、まだらに木もれ日が落葉に当っているさまは、秘められた聖地の感をいっそう深くする。ここに建つ一基の板碑に、不受不施派に深いつながりのある六人の僧名が併記されているが、その一人一人についての概要は次のとおりである。
円明院日照大徳 他の記録には「日正」と。同一人であれば、南玉造に不受不施派の庵を開いた人。享保四年十一月五日寂。
了高院日真大徳 林の法相寺十五世。天明元年十月二十四日寂。南玉造に墓あり。
玆本院日貞大徳 東台隠居と呼ばれ、同村の庵に住み寛保三年二月五日寂。
高真院日舒大徳 島に住む。延享二年二月二十七日寂。
鷲本院日悟大徳 中村の産で島南庵に住む。寛政六年十一月十三日牢死。
真鷲院日妙覚位 出生・住居ともに不明。『寛政法難記録』に「十一月十五日日妙牢死」とあり、同一人か。