字大門一四四四番地の一がその所在である。民家の建てこんだ奥にあるが、参道もないため知る人以外はそこへ行くことはできない。
「大門先」と呼ばれるこの地一帯の地名は行政上の区域・字名ではなく、檀林日本寺の門前に位置するゆえに、通称的にそう呼び習わされて来たものであろう。実際の行政区域としてはこの氏子の家々は新田・西谷・高田とに分かれている。
同社周辺一二世帯の氏神様として崇められ、正月二十二日にはお備社も行われており、行政区域とは異なった信仰上の集団をなしている。
氏子からは防火の神として崇敬されており、かつてある氏子の家から失火のあったときも、軒を接する隣家へその類を及ぼすことがなかったということである。
椎の古木の下に鎮座する小宮の中には、木像の本尊と棟札が安置され、その棟札の裏面には次のように記されている。
此尊像者 和田村古道具職之家ニ有之処 不思議ニ当氏子之内江霊夢有之 依テ和田村江相尋此尊像奉拝処 御手ニ捧宝珠玉玉ヒシハ玉耀明神ノ尊体是ニ無相違 霊夢有之奉感得也
旹 嘉永七寅(一八五四)三月吉辰
開眼主 高祐山 智朗(花押)