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日本寺(中村檀林)

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 「正東山日本寺」と称する日蓮宗の名刹で、字大門脇一八二〇番の一を所在地とする。県道多古・八日市場線沿いの北側に黒い冠門が見え、両側が杉木立に覆われた参道は、次の山門に至るまで約二〇〇メートルほど続いている。
 この山門に掲げられている「正東山」の扁額は、日蓮宗に対して絶大な信仰を寄せていた大芸術家本阿弥光悦の筆といわれ、多古町の文化財に指定されており、池上の本門寺、中山の法華経寺とともに日本三額の一つでもある。
 左手に曲がったところに歴代先聖の墓地があり、整然と並んだ四八〇余基の墓石から、当寺の歴史の深さが改めて偲ばれる。
 いま「日本寺境内真景」と題する古絵図を見れば、山門を入って表小路の左側に玄論場、食堂があり、裏小路の左側に文論場がある。表小路を前進すれば右に鐘楼、左に経蔵を見る。その正面が大講堂である。講堂から遙か離れた左手奥に妙見宮と、豊田・岡田二稲荷の社殿がある。

日本寺境内真景(明治26年)

 これらを檀林の中枢をなす主要建造物として、いわゆる東谷においては慧耕田を越えて昇竜庵など八庵、西谷においては珠林庵など二九庵があり、その他には浴室と薬師堂、さらには北山妙見も見られる。