旧道沿いの各所には、社というほどのものではないにせよ、幾つかの石塔や石宮がある。字道祖神八五〇番の二にある椎の古木の陰には、「道祖神」とのみ刻まれた三〇センチあまりの石宮が見られる。
このほか、多くは街道筋に立てられ、農馬の守護神といわれる馬頭観世音が二カ所にある。
字栗剥谷(くりはぎさく)八二三番には、高さ一メートル余の石塔があって、「南無妙法蓮華経 馬頭観世音 文久二壬戌年(一八六二)十月吉日建之 願主鈴木平兵衛」と刻まれ、もう一基は、字名内(なうち)六四五番にある六五センチのもので、「馬頭観世音菩薩享和二壬戌(一八〇二)十二月吉日 林村」と刻まれている。
字庄屋見下(しょうやみした)六五七番の墓地内に、よこ六〇センチ、たて七五センチほどの板碑があり、かつての支配者千葉氏一族の供養碑であると伝えられているが、建立の時代や施主の名前は不明である。この碑に刻まれた文字は、
千葉介常重
常兼子六人 上総介常宗
大千葉介常永公 臼井 常安
南無妙法蓮華経 匝瑳 常廣
千葉介常兼公 椎名 胤光
海上 与一
以上のように明瞭に判読できる。