市域で最も高いのは標高二九六・四メートルの金胎寺山である。西側から見ると、南北にいくつかのピークを連ねて、石川の谷と佐備川の谷とを隔てている。市役所の屋上からは南の真正面に見え、緑のよく保存された景観が美しい(4)。近年頂上付近には市立青少年教育キャンプ場が設けられ、東側の斜面にはみかん園が広がり、シーズンにはみかん狩りの観光客でにぎわう。
金胎寺山の山体の主要部分を構成する岩石は花崗岩である。この花崗岩は、金剛山・葛城山、それに生駒山・六甲山といった大阪盆地を縁どる山地の岩石と同じ性質をもつもので、平野部の地下深くにも分布していて、大阪盆地の基盤を構成する。この花崗岩は領家花崗岩類といい、東は長野県、西は九州にかけての、いわゆる西南日本内帯に広く分布し、中世代のジュラ紀~白亜紀(一億八〇〇〇万年~六三〇〇万年前)に、地下深部から大規模に貫入したものである。
大阪盆地の中心部では地下数百メートルから千数百メートルの深さでこの基盤に達するが、その後の地殻変動により地表近くに押し上げられた部分では、花崗岩が直接地表に露出している。さらに新第三紀鮮新世の終わりごろ(約三〇〇万年前)から、六甲変動とよばれる、断層活動をともなった激しい地殻変動がはじまり、その結果、今日私たちが見るような金剛山や六甲山、それに金胎寺山が形成されたのである。