大阪平野には、羽曳野丘陵のほかにも同じような特色をもった丘陵地域がいくつかみられる。北部では吹田・豊中両市を中心とする千里丘陵、南部では堺市の南方に広がる泉北丘陵などが代表的なものである。これらの丘陵は、いずれも大阪平野を縁どる山地のすそに広がっており、標高は一〇〇~二〇〇メートル程度で、地形的にも地質構造的にも共通点が多い。さらに大阪盆地全体のなりたちとも深く関連している事実に注目する必要がある。
各地の丘陵では、宅地の造成や道路工事のために、丘陵の表面が削り取られてできた崖が多数みられる。これらの崖は全体に黄褐色にみえるものが多いが、よく観察するとさまざまな色調をもった層状を呈していることがわかる。丘陵地にみられるこのような地層は、大阪層群とよばれているものである(8)。
大阪層群と総称される一連の地層は、今から約三〇〇万年前、すなわち新生代第三紀の鮮新世末期から約一二〇万年前の第四紀更新世前期にかけてできた地層で、当時の湖や海に堆積した礫層・砂層・粘土層などからなり、全体の層厚は約三〇〇メートルに達し、その間の各所に何枚かの火山灰層をはさんでいる(9)。このような地層はどのような状況のもとで形成されたのであろうか。