アズキ火山灰

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また現在では富田林の市域でほとんどみることができなくなってしまったが、アズキ火山灰とよばれて、大阪層群中で最も顕著な火山灰層が、金剛団地内にある寺池の近くの露頭でみられる(10)。このアズキ火山灰層はきれいな赤紫色、すなわちアズキ色をしており、三〇~四〇センチの厚さをもっている。この火山灰は、大阪よりはるか西方の九州方面の火山から噴出したものが西風によって運ばれ、大阪府をはじめ、京都府・滋賀県など広い範囲に堆積したもので、大阪層群と同じ時期に堆積した各地の地層中に認められる。このため地層中のアズキ火山灰を調べることにより、互いにはなれた地域の地層の堆積時期を比較することができるのである。こうした手がかりをつくってくれる地層のことを「鍵層」という。大阪層群ではアズキ火山灰は海成粘土Ma3の中にはさまれており、これを界として大阪層群は下部と上部に区分されている。さらに大阪層群中には、外見的な色合からピンク火山灰、イエロー火山灰などとよばれる、何枚かの特色ある火山灰層が含まれている。

10 寺池北側にみられるアズキ火山灰層 (横線にはさまれた部分)と第3海成粘土層(矢印の部分)