石川にかかる金剛大橋から西を望むと、富田林の街の家々が、石川の河床面よりもかなり高いところに位置していることに気づく。また富田林高校付近から南甲田にかけて、旧街道が石川に面した小崖状の地形に沿って通じている。さらに近鉄長野線の川西駅と錦織の大谷女子大学付近を結ぶ線沿いに、最大一〇メートル程度の高度差をもった段が連続しているのがはっきりと認められる(14)。中野町周辺を東側からややはなれてながめると、耕地や住宅の間に濃い緑の帯が横に一条通っているのがみえるであろう。熟視すると、段状の地形の斜面の部分に生えた樹木や竹林の緑であることがわかる。
このような小さな崖や段状の地形の分布を調べてみると、石川をはじめ各支流沿いの低地の各所に認められ、川沿いの低地では河川の流路に向かって傾く平坦な地表面が、一段ごとに高度を下げていくのがわかる。この地形は一般に段丘地形とよばれていて、とくに河川の沿岸に形成されたものを河岸段丘と称し、大阪平野も含めて各地によくみられる地形である。
すなわち石川に沿った平坦部は、段丘地形によって特色づけられている。段丘地形も大阪平野の各地に共通する地形なのである。それでは段丘とはどのようななりたちをもつ地形なのだろうか。