私たちが住んでいる富田林市の自然は、第一節、第二節で述べたように、長い時間的な経過のうちにつくりあげられたもので、そのテンポは人間の歴史からみればきわめてゆっくりとしている。嶽山の火山岩が噴出したという第一瀬戸内海の時代の開始期がざっと二〇〇〇万年前のことであるのに対し、人間活動がようやく目立ちはじめる縄文時代の開始期が、せいぜい一万年前のことである。しかし私たちの祖先がこの地で活動しはじめると、自然も従来とは比較にならないテンポで変わりはじめた。人間は与えられた自然環境のもとで活動するものであるが、同時にそのこと自体が自然を改変する原因でもある。時代がすすみ、人口が増加し、技術が進歩するにつれて、それはますます顕著な形をとってあらわれるようになった。今日では、自然破壊というような言葉が使われるように、人間の自然に対する働きかけはすさまじいという表現にふさわしい状態になっているし、現実に私たちが眼のあたりに体験しているところでもある。第三節では、自然を人間活動とのかかわりという観点からながめることにする。