採集生活と集落

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縄文前期の段階では農耕などの人為的な植物栽培は全く行なわれた形跡がなく、人びとは自然の山野に日々の食糧資源を求める採集経済を営んでいた。したがって集落も農耕社会のように一ヵ所に長年月にわたって定住する必要はなく、生活資源の獲得のために、集落の移動は比較的容易に行なわれたと考えられる。しかし、その地に鳥獣などの獲物が豊富で、魚介類などの入手に適し、食用植物が繁茂している限り、踏みとどまって利用すべき立地条件があったのである。