縄文前期の人口推定

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塚田松雄氏が古生態学の研究の中で試みた人口推計の方法によると、これら縄文時代の日本列島の人口を算定できるという。これはあくまでも統計学的な処理による推定であるが、縄文早期頃の全人口はせいぜい二〇〇〇人前後にすぎなかったのではないかとみられている。当時の縄文人の集落は二〇~三〇人を単位として、七〇~一五〇群が列島の各地に分散していたらしいという推測である。弥生時代の人口は一四〇万人程度という推計になるから、縄文前期には二、三万人内外で、それも遺跡の分布からみて東日本では密に、西日本では疎という傾向があったであろう。こうしてみると、国府集落といってもせいぜい二〇~三〇人位の集団からなるムラで、錦織ではほんの数人程度、戸数でいえば一~二戸の、とても集落とはいえないような規模であったということになる。