第一類(爪形文を主体とし、北白川下層Ⅱa・Ⅱb式)1、無文地にシジミの腹縁部が原体と思われる連続爪形文を施文している。器厚三ミリの薄手で堅緻である。北白川下層Ⅱa式に分類される。2・3、無文地に、半截竹管にて並行沈線を描いた後、沈線で区画された内側にC字爪形文を施文したもので、3には沈線の区画外にD字爪形文様の刺突がみられる。2は堅緻であるが、3はやや焼成が粗である。北白川下層Ⅱb式に分類される。4、無文地にC字爪形文を施文したもので胎土・焼成ともに良好な精製の鉢形土器である。北白川下層Ⅱb式に分類される。7、刻目突帯が一条みられ、直下に一条のC字爪形文が巡り、これから派生してC字爪形文が斜行する。器厚四ミリで黄褐色を呈し、堅緻である。C字爪形文が主体を占めて刻目突帯が付き、北白川下層Ⅱc式かⅢ式に分類されるべきものであろう。
第二類(羽状縄文・斜縄文を主体とし、北白川下層Ⅱc式)5、斜縄文R{LLを施文している。縄文帯の上部に刻目隆帯が三条みられ、刻目は斜めに刻まれ、三条は交互に方向を反転させている。器厚は八ミリを測り、堅緻である。6、キャリパー形を呈する鉢形土器の口縁部破片で、外面には斜縄文L{RRを施文し、内面口唇部は段状をなし斜縄文L{RRを施文している。器厚は四ミリで、砂粒を含むが堅緻である。
第三類(羽状縄文・斜縄文を主体とし、特殊突帯文を有す・北白川下層Ⅲ式・大歳山式)8、鉢形土器の口縁部破片で、口唇面に縄文が施文されている。外面には隆帯ともみえる二条の段があり、段状の下面を境とする羽状縄文が、上段R{LL、下段L{RRに、施文されている。また、二条目の段状の直下には、まばらな右下りのC字爪形文がわずかにみられるが、下部は明瞭ではなく無文地が残る。この下には、特殊突帯文がやや斜行して一条みられる。内面には、わずかに貝殼条痕文がみとめられるが、指の腹圧によるとみられる凹凸が顕著である。北白川下層Ⅲ式に分類される。9、斜縄文L{RRを地文とし、特殊突帯文が横位に一条と、これに懸垂する二条がみられる。器厚は三ミリ程度の薄手で堅緻である。これも北白川下層Ⅲ式に分類される。15、鉢形土器の底部破片で、底径は約一五センチと推定される。斜縄文L{RRが二段認められ、原体幅は二・五センチ程度である。上部端には縄文施文後に施文されたC字爪形文が一カ所みられる。底面は、貼り付けによるもので、わずかに上げ底を呈する。底部隅には、指の押圧による凹みがみとめられる。形態から大歳山式に分類される。
第四類(丹彩のみられるもの、第一類~第三類にともなう)10、無文の口縁部破片で、肥厚する口唇上に、小さな突起を貼り付けている。口唇上および外面に、丹が塗付されている。色調は黝黒色を呈する。11、並行沈線文が、縦・横および斜めにやや弧を描いて施文されており、色調は淡黄褐色を呈する。
第五類(羽状縄文・斜縄文を主体とするが細片のため不明なもの、第二類~第三類にともなう)12、斜縄文L{RRが施文されている。13、キャリパー形を呈する鉢形土器で、上段がR{LLに、下段がL{RRに施文される羽状縄文がみられるが、原体間の結束はみとめられない。14、斜縄文L{RRが施文されているが下部に無文帯を残している。