第Ⅱ様式の土器には壺二、鉢一、甕三がある。それらのうち、丸みのある体部に長めの頸部をもつ壺(126・1)と直立する口縁をもつ鉢(126・10)は胎土が粗く、厚手の作りであるが、体部下半のみ残存する壺(126・27)と甕は胎土が精良で、薄手の堅緻な作りである。これらのなかでも後者の壺は、胎土に角閃石を多量に含み、暗茶褐色の色調をもつことから粘土産地が生駒西麓に限定される。この生駒西麓と深い関係をもつ土器は、第Ⅲ様式になると各器種を通じて認められ、それらには各種土器(126・4・5・8・16・17)がある。
この特徴的な胎土をもつ壺は外面に櫛描直線文と扇形文を組み合わせて擬似流水文を描き、文様帯間はヘラ磨研を施すという大和・河内地方に多く認められる手法で飾られた壺でもある。なお、このほかに第Ⅱ様式の文様構成としては、扇形文だけを並例するもの(122・1)がある。
甕(126・21)は小破片の多いV字溝出土の土器中では唯一の完形品で、短く外反する口縁部にややふくらんだ倒鐘形の体部をもつ。口縁下端は巻き込み、底部は突出する。口縁部内面は横方向に、外面は縦方向に粗い刷毛目で調整し、口縁端面は刷毛目と同じ施文具で刻目を施す大和型の甕である。また、この甕の口縁部内面と外面には、炭化物質が付着している。