さて、前期古墳の分布状況からみると、石川流域を中心とする河内南部の地域には、二つの分布の型を指摘することができる。一つは石川の下流域の玉手山古墳群で、南北に細長い玉手山丘陵上に前期の前方後円墳が群集している。大和川南岸に位置する柏原市国分の松岡山古墳群もこのタイプに含まれる(157)。これらを集中型の分布をしめす例と規定した場合、他の一つは分散型の分布を特色とし、石川の南北一二キロにおよぶ中・上流域に認められる傾向である。すなわち、流域両側の台地に臨む丘陵突端にそれぞれ一キロないし二キロの間隔をおいて点々と分布し、南限は河内長野市南部の谷筋にまで達している。この地域に関する限り、前者のグループに属する前方後円墳は規模の大きなものが多く、後者はそれにおよばない。本市内に含まれる鍋塚、真名井、廿山、板持丸山などの前期古墳は、後者の型に属している。