富田林市の北方にあたる石川下流域の羽曳野市大字壺井には御旅山古墳があり、南方の上流域にあたる河内長野市日東町には大師山古墳など、著名な遺物を出土した前期古墳がある。また南河内郡赤阪村(千早赤阪村)から四獣鏡二面と六獣鏡一面を出土したことが富岡謙蔵氏によって紹介されていて(「日本仿製古鏡に就いて」『古鏡の研究』)、もしこの所伝が確実とすると石川の上流域の谷筋に前期古墳の可能性の強い古墳が分布していることも考えられる。今後の調査でこれ以外にも増加する期待もあるが、ここでは市外での主要例として御旅山と大師山の二古墳を取り上げて、市内の五古墳とあわせてその性質を考えることにしたい。