外区の文様

236 ~ 237

つぎに外区を見よう。内区との間を凸稜をもつ太い界線で区画した外側には、特徴のある獣文帯、あるいは略して獣帯と称する文様帯がめぐらされている。ここには一〇個の動物を、細い帯の間に小乳を配しつつ右向きの方向に一列に並べたもので、試みに図形として最も理解し易い双魚から数えると、つぎのような配列となる。1双魚、2蛙、3亀、4象、5鳥、6魚、7竜、8蛙、9竜、10四足獣である。動物文の中に象と推測される図形が加わっていることに、奇異の感を与えるかもしれないが、古代中国では比較的よく知られた動物である。

 獣文帯の外側には、内から外に向かって順に櫛歯文、鋸歯文、複線波文、鋸歯文をめぐらされて三角縁となる。三角縁とは鏡縁が鏡背に向かって突稜をなしたもので、鏡の断面図を描いてみると、三角形の縁を形作るところからその名が生じている(184)。