市内の後期古墳の分布

284 ~ 284

さてここで本論に立ちかえって、富田林市域の後期古墳をもう一度検討してみることにしよう。おおまかに区分して、市域の西北部を占める石川西岸の羽曳野丘陵には、平古墳群と宮古墳群とがある。これに対して石川東岸では東南部の丘陵地帯にかけて板持古墳群・西野々古墳群、田中古墳群、嶽山古墳群をあげることができ、どちらかといえば市の南部地域に集中する傾向が認められる(227)。さらに指摘しなければならないのは、これらの古墳群の中に横穴式石室を内部構造とするものと、横穴式石室を構築せずに木棺を直接埋葬した簡単な構造とに大別できることである。宮古墳群のうち南方の宮前山に位置した古墳の中に一、二基横穴式石室を構築したかとみられる古墳はあったが、平古墳群をはじめ美具久留御魂神社境内に分布する後期古墳のおそらくすべては木棺を直葬したグループに属している。

227 富田林市内の後期・終末期古墳(火葬墓を含む)の分布と地域図