家形石棺の研究

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一九七〇年代になって全国各地の後期古墳に対する研究が、石棺の型式分類と石棺石材の方面で活発に行なわれ、いくつかの有益な成果が得られた。その一つとして和田晴吾氏の論文を紹介しておくことにしよう(同氏「畿内の家形石棺」『史林』五九―三、一九七六年)。同氏はまず畿内の家形石棺に限定して内容を整理し、五つの「型」と三つの「石棺群」に分類できるとする。五つの型とは(1)三輪型(刳抜式石棺)(2)南大和型(刳抜式石棺)(3)葛城型(組合式石棺)(4)山畑型(組合式石棺)(5)播磨型(刳抜式・組合式石棺)である。それぞれの内容についての詳細な説明は省略するが、地域的な古墳群の石棺の特色から分類し、石棺用材との間に深い関連性があるとする。これらとは別に三つの石棺群とは、型の設定までには至らないが、(1)九州刳抜式石棺群(2)東大和組合式石棺群(3)石川右岸組合式石棺群を指している。この中で(1)は九州中部に産する阿蘇熔結凝灰岩を用いた初期の家形石棺で、(3)は前項六の後期古墳で触れた一須賀古墳群の石棺群を意味していることを、付け加えておこう。