3 美具久留御魂神社裏山古墳群

378 ~ 378

 本古墳群は、富田林市宮町に所在する美具久留御魂神社の裏山に位置している。裏山は羽曳野丘陵の中央東縁にあたって北北東方向に約一キロの長さで延びる小丘陵の最高地を占めていて、標高は約一〇三メートルある。その小丘陵の東斜面中腹に美具久留御魂神社が鎮座している。この神社は『延喜式』に河内国石川郡九座として列挙された一つで、別名和爾神社といい、建水分神社を上水分神社と称するのに対して下水分神社とも呼ばれ、水神を祠るが江戸時代には近村六カ村の産土神であった。この神社の東方に広がる水田地帯には、仁徳天皇の時代に開発されたと伝える広大な粟ケ池が水を満々とたたえていて、江戸時代になると口碑とともに広さ九百畝に達する和爾池の旧跡として『河内名所図会』に登場するに至るのである(299)。

299 美具久留御魂神社裏山古墳群所在地図(1:15000)

 古墳群は、本神社背後の境内地の最高点を占めて前方後円墳(第1号墳)、その北側に円墳(第2号墳)、北西側に円墳(第3号墳)、第1号墳の南側に円墳(第4号墳)の四基からなっていて、同じ境内の一角にはやや新しい時期に下っても古墳の営まれることがあったらしく別項に記したように六世紀後半の須恵器等をともなう遺構が検出されている(300)。

300 美具久留御魂神社裏山古墳群墳形実測図