棺床をもつ墓壙

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さて第3号墳の内部構造は後方部の中央に、墳丘の長軸に平行して営まれた木棺直葬の土壙墓である。後方部頂の黄褐色を呈する砂混じり粘土質の地山に、長さ七メートル、幅三・三メートル、深さ〇・七メートルの内側に向かって傾斜する土壙を穿ち、その底面中央に長さ四・五メートル、幅〇・八メートル、高さ約〇・二メートルの棺床を、良質の青白色粘土を用いて設けている。この棺床は断面が浅いU字形をなしていたことからすると、この上に安置された木棺は割竹形もしくは底材が丸味を帯びた組合式の形状を呈するもので、棺床の長さがおそらく棺床の長さと一致するものであったのであろう。また棺床上に厚さ一〇センチ内外の別の粘土層が堆積していたので、木棺の上部を被覆する粘土であったとも考えられるが細部のことはわからない。なおとくに墓壙の隅角部を精査したが、壙外に挺出する排水溝の施設はなかった。また壙底に礫石などを敷きつめた遺構もなく、本墳の内部構造に関する限り、石材を用いた形跡は全く認めなかった。ただ墳丘の盛土中から土師器の坩形を呈する土器片若干を検出したが、型式を明らかにするに足るものではない。