出土埴輪の特色

404 ~ 405

試掘の際に出土した埴輪は大阪府教育委員会で復原されて、朝顔形円筒埴輪の存在が明らかになった(考古三〇―(2)・(3))。復原できた部分は上半部にすぎないものの、大きくラッパ状に開口した口頸部と、肩部にかけての器体は朝顔形としての特色をよく示し、器体の上部には外方に張り出した広つば状の突帯がある。赤褐色を呈する厚手の焼成品で、胎土も砂粒の混入が多い。朝顔形埴輪という名称は、むしろこの種埴輪の成立過程からすると、高杯形からの発展として器台形円筒埴輪と称すべきかもしれない。幅の広いつば状突帯は高杯下端の裾部の表現が遺存していると解することができる。このほか、きぬがさ形埴輪の破片も出土している(324)。

324 周濠部試掘溝内の埴輪片出土状態