本古墳の年代については、内部構造が竪穴式石室の可能性をもつとはいえ、まだ明確ではなく、出土遺物も知られていないので、墳丘が周濠をもつ円墳であることと、埴輪の中に器台に起源をもつ特殊円筒が存在することから若干の考察を加えることができる。後者の特殊円筒は前期から中期前半の古墳に用いられていて、本古墳の場合にはその中頃に編年できる型式と考えられる。すなわち前期末ないし中期初頭、世紀の上からいえば四世紀末か五世紀初頭の時期を想定すべきであろう。墳丘が周濠を備えているのは中期的要素と解してよければ、五世紀初頭の年代を中心とする時期とみることができる。