外堤部の敷石施設

415 ~ 416

新たに検出した円墳の裾廻りから復原すると、墳丘の規模は直径約四六メートル、高さは約九メートルで、その周囲に幅約六・五メートル、深さ約〇・八メートルの浅い濠をめぐらしているものと見られる。調査所見によると「周濠中には全面に礫群が検出され、一応広範囲に円礫を人為的に敷きつめた可能性も強い」としながらも、各試掘溝の総合的な状況からすると「周濠全体に必らずしも敷石が施工されたとは判断し難い」としている。筆者自身この調査の終了時に立会って観察したところでも、濠底での礫石の遺存状況はやや散慢で、試掘溝ごとに疎密の差があり、墳丘の周辺から濠内に落ち込んだ葺石などの礫石と見た方がよいように感じた(337)。この試掘調査で周濠外堤部の濠に面した斜面と、さらに外堤部上面にも敷石状遺構の存在を確認できたのは大きな成果の一つで、本古墳のように規模のあまり大きくない円墳の場合でも、たんに墳丘と周濠の範囲だけでなく、その外方に敷石の施設を営んで墓域としていることに注目したい。ただ今回の試掘調査は道路敷の区域内にとどまったため、このような外堤上の敷石遺構がどの範囲にまでおよんでいるかを確認できなかった。

337 第1号墳(明八塚)周濠底部、全面に礫石が遺存している