陶棺片を出土した古墳である。彼方小学校の東方約四〇〇メートルの丘陵上にあって、南から北に延びた小支脈の尾根に位置している。墳丘の規模・形状は蜜柑畑に開かれているため不明瞭だが、直径二五メートル内外の円墳状の隆起が認められる(364)。採集した陶棺片は三片で、すべて暗灰色を呈する瓦質焼成からなり、外面は刷毛目調整、内面は同心円叩目を有している(考古二九―(3))。陶棺の全形を復原する資料としては充分でないものの、破片の中で1は棺身と棺蓋が接する縁辺部分にあたり、受け面に凹溝をめぐらしていて棺蓋の下部と見るべきであろう(365)。「四注式屋根形」の形式に属する陶棺で、完形品として羽曳野市駒ケ谷から出土した資料があるので、図を参考に掲げておこう(366)。