佐備・竜泉地区

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一方、眼を転じて市域東南部にあたるⅤ佐備・竜泉地区を見ると、石川の支流として南から北に流れる佐備川に沿って、狭い谷あいに広く遺跡の散布する地域があり、下流から柿ケ坪、佐備川流域、佐備川の三遺跡を挙げることができる。

 この中で、柿ケ坪遺跡は下佐備を中心として、佐備川の両岸に細長く遺物の分布が認められる。南北の長さは約一・三キロ、東西の幅は最も広いところで二〇〇メートルあまりあり、両側の低い丘陵にはさまれた低平な水田地帯上に点々と須恵器、土師器片が散布していた。採集した須恵器片は三六六片、土師器片は九〇二片にのぼり、狭い谷あいの段丘上からの量としては予想以上に多い。他に弥生式土器片一〇片と石鏃一個およびサヌカイト片を五五片採集していて、弥生時代から続く集落遺跡がこの地域内に形成されていた可能性を強く裏づける(413)。

413 柿ケ坪遺跡所在地図 (1:15,000)