福山氏の寺址分類

516 ~ 516

福山氏はつぎに伽藍配置の様式をA・B・C・Jの四群に大別し、主として塔と金堂との位置関係から九型式に細分した。Aには前に塔、後に金堂をおく四天王寺式と、さらに塔の両わきに各一堂を加えた二型式がある。Bには金堂の前東に塔をおいた例、前西に塔をおいた例、前東西に塔をおいた例(薬師寺式)の三型式がある。Cには東に塔、西に金堂をおいた法起寺式と、東に金堂、西に塔をおいた法隆寺式、西に塔をおき東の金堂が西面する野中寺式の三型式があり、Jは回廊外の中門前東寄りに塔をおいた例であるという。なお伽藍配置の不明な寺が三〇例もあるので、型式の細分が増加する可能性も考えておかねばならないが、それにしても飛鳥時代の初期寺院ですでにこのような多様な伽藍配置を呈するのは驚くべきことである(430)。

430 飛鳥・白鳳時代の主要伽藍配置図