鬼瓦の破片

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最後にあげるべきものとして鬼瓦の破片がある。一九七四年に新堂廃寺寺域の北に隣接して府営水道のポンプ場設置工事が行なわれた際、天平時代の丸瓦、平瓦片とともに採集したもので、遺構が残存している状況はなかった。長さ二三・一センチ、幅一五・〇センチ、周縁の厚さは七・二センチの破片で、原形の約三分の一程度を占めている。鬼瓦左半の面貌の部分にあたり、眼と鼻孔の部分は欠失しているものの、口端と牙、門歯を中心に下半部の表現がある。周縁は素縁で連珠文をめぐらしていない。黒褐色を呈し、やや軟質の焼成で石英粒をわずかに含んでいる。

442 新堂廃寺出土の鬼瓦破片
443 同右復原実測図