すなわち燃焼部の床面には、厚さ一〇センチ余りに堆積した古い灰層の上に、高さ二八センチの壁状の仕切りを窯の長軸と直角に平行して三重に設け、その間を二条の深い溝としている。粘土壁の上面は平瓦や丸瓦片で覆い、薪材を架して燃焼する台としていて、そのため上部は強い火熱を受けて赤変している。この床面の構造は明らかにロストル(火格子)の一種であって、燃焼部の北半を占めて左右両壁に達するまで幅二・四メートルの間を軽く弧形に設置されている。なお付言すると焼成部に比べて燃焼部は約七〇センチの段差をつけて低くなっている。この段に接する狭い溝中には、長径三五センチ、短径二〇センチ内外の丸石七個を一列に配置するなど、一見保強とも見える工夫のあとが認められる。