5 摩尼院跡

374 ~ 375

 現在の龍泉寺駐車場西のカーブ部分に該当する地域である。道路工事にともない一部の諸調査がおこなわれた。調査の結果、建物四、溝二、土坑三ほかの遺構と遺物が確認された。検出された遺構は、調査範囲の北東部地域に集中していた。建物は南東隅を確認したSB01・02・03建物と、北西隅が不明なSB04建物があり、いずれも掘立柱建物で礎石をともなわない簡易構造の建物であった。

 遺物には銅製品の錫杖の先端部が一点のほか、輸入陶磁器・瓦器・土師器などが出土している。とくに錫杖の確認によって当該遺構が、単なる生活痕跡ではないことが明らかとなった。なお調査範囲は狭いので問題があるが、建物の状況からあまり長期にわたる生活は、ここではおこなわれなかったと考えられる。