市域の寺院

956 ~ 956

近世における富田林市域の寺院について、『大阪府全志』『大阪府史跡名勝天然記念物調査報告』、および「寺院由緒書」などの市史調査に掛かる史料(その多くは、史料編の『富田林市史』四・五に収載されている)を中心にして、その概要をみておこう。その場合の近世寺院とは、幕府・藩・教団などのいわゆる宗教的公権力によって認められ、「寺院明細帳」や「宗門御改帳」、さらに「末寺帳」などに記載されたものを指す。それらの概要を一覧したものが表124である。

表124 近世の寺院一覧
宗派名
寺院名
所在地名 開基・中興・歴代 年次 備考
真言宗
 高野山末
龍泉寺 龍泉 蘇我馬子 推古天皇二(五九四) 建立、薬師如来(伝聖徳太子作)(全)
弘法大師 弘仁一四(八二三)・一・八 再興(全)
南北朝時代 荒廃(龍泉寺城の合戦)(史)
文禄三(一五九四)一一・三 中之坊山林検地免除再認(来守正次)(龍泉寺文書)
慶長一三(一六〇八)・一〇・一九 燈明料高三石赦免(片桐市正)
享和一(一八〇一)・一一 古義真言宗(図)
寛永年間 五坊(史)
寛文年間 再建(全)
宝永一(一七〇四) 『龍泉寺縁起絵巻』(史)
 智積院末
明王寺 彼方 弘法大師 弘仁一二(八二一) 創建(伝)(全)
南北朝時代 荒廃(全)
寛治八(一〇九四)・三・二六 不動明王(調)
宝暦一三(一七六三)・二 無本寺、看坊(調)
天明八(一七八八) 梵鐘(調)
享和二(一八〇二)・六 無本寺(史)
文化一四(一八一七)・八 無本寺、除地、境内社白山権現(史)
高取慈恭 明治二〇代 中興(調)
 無本寺
称音寺 錦郡 創建年不明(全)
享和一(一八〇一)・一一 本尊如意輪観世音・伝弘法大師(図)・伝楠正成崇信(全)
明治七(一八七四) 廃寺(上地)(黄檗宗聖音寺か)(全)
蓮華心寺 彼方 創建年不明(全)
円恵 永正一二(一五一五)・二・二四 摂取院住持(史)
元禄五(一六九二) 蓮花寺、石塔有、四年以前崩(史)
任空 延宝一(一六七三) 看坊入院、元真言宗、大念仏宗帰依(念末)
宝永三(一七〇六) 江戸真言宗霊雲寺に附属(念末)
慧光 享保一九(一七三四)・一一・四 卵塔(当寺中興)(調)
極妙 寛政二(一七九〇)・二・二 卵塔(当山三世)(調)
叡道 文化一〇(一八一三)・一一・一一 卵塔(当寺四世)(調)
文化一四(一八一七)・八 蓮華寺、再建不知、除地、本尊弘法大師作(史)
明治元(一八六八) 廃寺、一部寺宝明王寺に保存(全)
蓮花寺 彼方 元禄五(一六九二) 石塔有、四年以前崩(史)
(全)には無記載、廃寺(史)
腰神看坊良順 享和二(一八〇二)・六 古義真言宗、腰神看坊良順(史)
律宗
西福寺 板持 (全)には無記載
元禄三(一六九〇)・六・二九 小庵・無住(調)
廃寺
法相宗
青憧寺 佐備 (全)には無記載
密照 天明一(一七八一) 墓塔(中興)(調)
慧龍静叡 寛政一(一七八九)・一一・一三 卵塔(調)
法寿智沢・伝明快晴 天保一五(一八四四)・三・二四 石塔(本堂中興・再興)(調)
明治年間 廃寺
浄土宗
 知恩院末
極楽寺 南別井 創建年不明(全)
浄信寺 北別井 創建年不明(全)
浄蓮社信誉 開基(伝)
万治三(一六六〇)・八・一五 喚鐘(調)
西方寺 毛人谷 寂蓮社光誉 元正一五 再建(全)、天正一五(一五八七)の誤か
闡誉上人 天明七(一七八七)・九・二五 二四世
天保一四(一八四三)・九 本堂・観音堂・釣鐘堂、三拾八神社(史)
天保一四(一八四三)・九 石灯籠(調)
養寿庵 東板持
 誓願寺末
 (西山深草派)
青蓮寺 伏見堂 創建年不明(全)
興空隆慶 開基(伝)
浄土真宗
 西本願寺末
興正寺掛所 富田林 応永年中 毛人谷に創建(全)
証秀 弘治(一五五五) 河内国を教化
証秀 永禄三(一五六〇) 本地開発(史)
証秀 永禄四(一五六一) 移転創建(史)
慶長五(一六〇〇) 家康制札(史)
寛永一五(一六三八) 本尊(調)
叡了 寛永二一(一六四四)・七 富田林村万改帳(史)
宝永六(一七〇九)・九・二〇 石灯籠(調)
文化七(一八一〇) 書院・庫裡再建(調)
文政一一(一八二八)・二
明治七(一八七四)・一〇 富田林村一村限帳(史)
明治一三(一八八〇)・五・二四 真宗興正派本山の別院
妙慶寺 富田林 柳渓 慶長八(一六〇三)・八 創建(全)
休庵 寛永二一(一六四四)・七 富田林村万改帳(史)
万治三(一六六〇) 惣門徒中興(史)
享保五(一七二〇)・九 本堂再建・瓦(調)
名号(実如?調)
元文二(一七三七)・一二 石灯籠(調)
明治七(一八七四)・一〇 富田林村一村限帳(史)
光盛寺 新堂 尊空 貞永一(一二三二) 創建(伝)
阿弥陀如来(善如下付)
名号(蓮如伝・調?)
戦国時代 焼失
寛永八(一六三一)・一〇・一四 寺号公称(全)
祐玄 寛永一七(一六四〇)・三・一九 太子・七高僧(良如)(調)
祐智 元禄一五(一七〇二) 一二世・本堂・庫裡再建(調)
貞享二(一六八五) 鐘楼・釣鐘再建
宝暦一三(一七六三) 縁起書(調)
寛政四(一七九二) 山門再建
文政一一(一八二八)・二 明細帳記載(史)
西徳寺 中野 もと水分大明神の宮寺紫簾寺塔頭(全)
教通(善右衛門) 延徳年間 転宗、興正寺末(伝)
享保一一(一七二六)・一二・五 水盆(調)
宝暦一三(一七六三)・九 石燈籠(調)
教応 文久年間 本堂再建(全)
明尊寺 喜志 了智坊 文永一〇(一二七三)・八 開創(伝・全)
文明四(一四七二)・七・一二 寺号公称(全)
方便法身尊像(蓮如裏書)
浄恵 寛永一七(一六四〇) 聖徳太子孝養画像・七高僧像(良如下付)
元禄二(一六八九)・七・二四 手水鉢(調)
万治三(一六六〇) 再興(角)
享保五(一七二〇) 本堂再建
専光寺 新堂 永正七(一五一〇)・二・一五 寺号公称、興正寺末(全)
和田庄七郎清茂 永正一二(一五一五) 創建(伝)
享保一二(一七二七)・三・二七 石燈籠(調)
善慶 寛延三(一七五〇)・春 梵鐘(調)
安永九(一七八〇)・三・一四 喚鐘(調)
寛政七(一七九五)・六 石燈籠(調)
文政一一(一八二八)・二 明細帳記載(史)
安政二(一八五五) 過去帳(調)
教蓮寺 新堂 永正七(一五一〇)・一一・二八 寺号公称、興正寺末(全)
文禄二(一五九三) 過去帳(調)
元禄四(一六九一) 太鼓(調)
宝永五(一七〇八)・一一・一九 喚鐘(調)
元文四(一七三九) 石燈籠(調)
享和三(一八〇三)・三・二四 石燈籠(調)
文政一一(一八二八)・二 明細帳記載(史)
円光寺 新堂 紙屋三良右衛門房次心了 慶長一六(一六一一) 創建
万治二(一六五九) 中興
元禄四(一六九一)一二・二〇 寺号公称(全・寺社改写)
宝暦一一(一七六一) 本堂瓦(調)
安永一〇(一七八一)・三 石燈籠楼(調)
文政一一(一八二八)・二 本照寺末(史)
月光寺 喜志 創建不明、興正寺末(全)
乗観 永禄四(一五六一) 創建(伝)
寛永年間 過去帳(調)
照円 寛延四(一七五一)・七・五 梵鐘(調)
正信寺 喜志 興正寺末(全)
寛文八(一六六八) 過去帳(調)
―   ― 名号・絵像・太子・七高祖(調)
泉龍寺 山中田 名号(伝蓮如)
霊応 承応年間 中興(伝)
寛文一二(一六七二)・一・二〇 寺号公称(全)
延宝七(一六七九) 過去帳(調)
享保五(一七二〇)・一二・一九 親鸞伝絵
安政五(一八五八) 本堂再建
明治二(一八六九)・三 看坊(史)
専念寺 西板持 宝永七(一七一〇)・三・九 寺号(長福寺)(全)・本尊(寂如下付)(調)
享保一(一七一六)・一〇・七 改称(専念寺)(全)
享保二〇(一七三五) 過去帳(調)
宝暦三(一七五三)・九・八 喚鐘(調)
安永四(一七七五)・一〇・九 聖徳太子像(法如下付)
浄福寺 甘南備 創建年不明(全)
宝永八(一七一一)・一二・一五 梵鐘・喚鐘(調)
円照寺 南大伴 創建年不明(全)
花山法皇 ―   ― 創建(伝)
三条実顕 菩提所(伝)
昭和三五(一九六〇)・三・六 廃寺
常念寺 北大伴 創建年不明(全)
寛文一(一六六一) 創建(伝)
元禄九(一六九六) 過去帳(調)
寛保三(一七四三)・一〇・二七 喚鐘(調)
光徳寺 北大伴 創建年不明、興正寺末(全)
徳潤 天保一四(一八四三)・四・一五 親鸞伝絵(広如)(調)
河辺大了 明治二〇(一八八七)・三・一 喚鐘(調)
東本願寺末
光円寺 新家 元和四(一六一八) 惣道場開基(棟札表裏)
享保四(一七一九) 親鸞画像裏書(真如下付)
宝暦九(一七五九) 太鼓(調)
安永九(一七八〇) 太鼓(調)
寛政九(一七九七) 太鼓(調)
文政一三(一八三〇) 太鼓(調)
天保三(一八三二)・三・一五 再興・棟礼
安政二(一八五五)・八 太鼓(調)
金光寺 喜志 創建年不明(全)
木仏(宜如下付)(調)
寛文一〇(一六七〇) 親鸞画像(琢如下付)(全)
正受寺 中野 創建年不明(全)
明和二(一七六五) 創建(伝)
融通念仏宗
大念寺 板持 創建年不明(全)
深正 延宝四(一六七六) 看坊入院(念末)
俊良 宝暦一四(一七六四)・三 喚鐘?(調)
玄晃 明和八(一七七一)・九・一五 梵鐘?(調)
神宮寺 錦郡新田 宝永三(一七〇六) 古野極楽寺末(念末)
享和二(一八〇二) 古野極楽寺末、看坊(史)
(全)無記載、廃寺
安楽寺 伏山新田 正徳年間 過去帳(調)
大嶺秀老 安永四(一七七五)・一二 卵塔(中興開祖)(調)
享保二(一八〇二) 無本寺、看柱、本尊薬師如来、鎮守社、若宮社(史)
文政九(一八二六)・一 喚鐘(現極楽寺在)(調)
天保七(一八三六)・二 法界塔(調)
(全)無記載、現浄土宗
浄谷寺 富田林 貞澄 弘安九(一二八六) 毛人谷村に創建(全)
済戒真証 開基(伝)
永仁一(一二九三) 笠塔婆(伝)
応長一(一三一一)・六・二七 石地蔵(志)
教道 天正二(一五七四) 移転、真言宗仁和寺末
慶長一三(一六〇八) 大念仏道場(伝)
光清 寛永二一(一六四四)・七 西ノ道場(史)
寛文六(一六六六) 惣門徒中興(史)
元禄年間 転宗
天保一四(一八四三)・六 観音堂・地蔵堂(史)
惠湛 天保年間 一七世・再建(南河内郡寺院明細帳)
月山 宝暦五(一七五五)・三 梵鐘
明治七(一八七四)・一〇 富田林村一村限帳(史)
浄蓮寺 佐備 長残 延宝四(一六七六) 元浄土宗、看坊入院(念末)
(現良法寺) 浄蓮 元禄年間 元真言宗。転宗
元禄年間 過去帳
享保五(一七二〇)・一 喚鐘
明和七(一七七〇)・六・一五 灯籠(閻魔堂常夜燈)(調)
明治四(一八七一) 廃寺(廃仏毀釈)
明治六(一八七三) 若江岩田良法寺を移転(調)
明治二八(一八九五)・三・一二 若江北良法寺移転(全)
念仏寺 龍泉 賢性 延宝二(一六七四) 元真言宗、看坊入院、西音寺末(念末)
(全)無記載
明治年間 廃寺
遍照寺 甘南備 恵順 天徳四(九六〇)・四 中興、もと真言宗(全)
休山 延宝一(一六七三) 看坊入院、西音寺末(念末)
貞享二(一六八五)・五・一二 五輪塔(調)
正徳年間 過去帳(調)
宜全光達 享保一五(一七三〇) 一世(調)
宜全光達 宝暦一二(一七六二)・六・一二 寂(位牌)(調)
宝暦一二(一七六二)・六・一二 法界塔(阿闍梨宜全光達之墓)(調)
享和一(一八〇一) 再興(調)
誓山 文化四(一八〇七)・三・二五 寂(卵塔)(調)
極楽寺 喜志 法明 元享一(一三二一) 中興(全)
円説 寛文一二(一六七二) 看坊入院(念末)
明和八(一七七一) 過去帳(調)
安楽寺 喜志 創建年不明(全)
単了 延宝二(一六七四) 弟子入院(念末)
長福寺 廿山 創建年不明(全)、もと真言宗
元中八(一三九一) 過去帳(調)
順正 延宝二(一六七四) 看坊入院(念末)
享保六(一七二一) 往古ゟ除地(史)
享保八(一七二三)・三・二五 上寺古野極楽寺と出入(念末)
享和二(一八〇二)・六 除地(史)
文化八(一八一一)・二・一〇 医薬門新建願(念末)
諦元一道義縁 文化九(一八一二) 卵塔(調)
常楽寺 錦郡 享和二(一八〇二) 本尊大日如来、鎮守社(史)
(全)無記載、廃寺
福竜寺 錦郡 享和二(一八〇二) 古野極楽寺末寺、看坊、本尊大日如来、鎮守社(史)
(全)無記載、廃寺
極楽寺 錦郡 忍空 ―  ― 開基
昌応 延宝二(一六七四) 看坊入院(念末)
享和二(一八〇二) 古野極楽寺末寺、看坊、本尊阿弥陀如来、鎮守社(史)
もと真言宗
引導三尊仏(伝大通筆)
明和八(一七七一) 過去帳
(全)無記載
西光寺 彼方 智観 延宝三(一六七五) 観坊入院(念末)
宝暦一三(一七六三)・二 古野極楽寺末寺、看坊(調)
享和二(一八〇二)・六 古野極楽寺末寺、無住(史)
文化一四(一八一七)・八 古野極楽寺末寺(史)
佐太来迎寺末
浄土宗に転宗
(全)無記載、廃寺、遺仏は養楽寺(甲田西之芝)
正方(法)寺 東板持 俊月 延宝四(一六七六) 元浄土宗、看坊入院(念末)
(全)無記載
観音寺 伏見堂 (全)無記載
宥泉 寛文一二(一六七二) 看坊入院(念末)
文政八(一八二五)・三 喫鐘(現青蓮寺在)(調)
廃寺
金胎寺 元弘二(一三三二) 金胎寺山上から移転(全)
享保六(一七二一) 境内弐畝十二歩(史)
享和二(一八〇二)・六 古野極楽寺末寺、無住(史)
明治四(一八七一)・五 廃寺(全)
善林寺 敬円 万治一(一六五八) 看坊預(念末)
(全)無記載
廃寺か
穴塩寺 横山 恵玄 延宝二(一六七四) 看坊入院(念末)
(西塩寺) 明治四(一八七一)・五 廃寺(全)
臨済宗
妙心寺末
楠妣庵観音寺 甘南備 楠夫人 正平三(一三四八) 草庵(観音堂)建立(全・伝)、真言宗無本寺(全)
応仁年間 応仁乱により焼失(伝)
秀玉自照沙弥尼 安永六(一七七七)・八・一二 卵塔(観音寺末代)(調)
智法玉浄大求寂尼 文化九(一八一二)・五・二五 卵塔(調)
大龍沙門 慶応二(一八六六)・三・二八 卵塔(調)
明治六(一八七三) 廃寺(廃仏毀釈)
大正六(一九一七) 楠妣庵・観音堂再興(調)
大正一一(一九二二) 観音寺再興(調)
〔一説によれば、元和一(一六一五)・三。昭和三(一九二八)、京都府南桑田郡より移転。〕
黄檗宗
万福寺末
慈眼寺 南別井 建武二(一三三五) 軍檀目鏡(伝楠正成筆)(全)
智悦 明和四(一七六七)・一二・一五 石柱(当寺第五代)
文化一一(一八一四)・五 讃文(大久保忠真筆)(全)
龍雲寺 加太新田 創建年不明、今井法雲寺末(全)、もと真言宗
独園 享保七(一七二二)・一二・一二 卵塔(当寺開山)(調)、この頃取立(史)
安永八(一七七九)・七・九 卵塔(調)
無染キ 寛政三(一七九一)・八・七 卵塔(臨済正宗三十八世当山八代)(調)
享和二(一八〇二)・六 留守居、石見川龍雲寺引寺(史)
養楽寺 甲田 創建年不明、法雲寺末(全)
龍音 江戸中期 創建、もと真言宗(伝)
聖音寺 錦郡 弁宗 享和二(一八〇二) 紫雲院末寺、本尊如意輪観音(史)
(全)無記載、廃寺
無本寺
宝海寺 新堂 享和一(一八〇一)・一一 十一面観世音・安阿弥作(図)
文政一一(一八二八)・二 観音堂・阿弥陀堂・地蔵堂(史)
(全)無記載、廃寺
清宇庵 新堂 文政一一(一八二八)・二 本尊阿弥陀如来(史)
(全)無記載、廃寺
円満寺 彼方 文化一四(一八一七)・八 春日大明神境内(史)
地蔵堂 廿山 享保六(一七二一) 往古ゟ除地(史)
享和二(一八〇二) 除地(史)
常楽寺 彼方 文化一四(一八一七)・八 再建不知、除地(史)
中之坊 彼方 元禄五(一六九二) 本屋敷(史)
文化一四(一八一七)・八 再建不知(史)
角之坊 彼方 舜円 元禄五(一六九二) 市兵衛屋敷居候(史)
文化一四(一八一七)・八 再建不知(史)
不明
南向庵 佐備 心蓮院即開 安永三(一七七四)・七・二九 卵塔(門人研成・恵門建之)(調)
道鉱研成 天明二(一七八二)・九・一七 卵塔(門人泰良)(調)
観聖 天保四(一八三三)・五・二二 卵塔(調)
万通泰全 安政三(一八五六)・九・五 卵塔(弟子実聞建之)(調)

注)『大阪府全志』(全)、『富田林市史』(史)、『角川日本地名大辞典』(角)、『河内名所図会』(図)、『河内志』(志)、『大念仏寺四十五代記録並末寺帳』(念末)、その他で補正し、寺伝は寺伝(伝)として参考にした。(調)は市史編集係による調査を表す。

 これを見ると、ほぼ現在の寺院は、江戸時代にはその基礎を有しているものが大半であることが判る。ただ注目すべきことは、明治維新以降になって、廃寺となったものが幾つか存在するが、その多くは、廃仏毀釈の影響を受けた結果と考えられることである。また、鎌倉新仏教、特に浄土教系統の寺院の中で、元真言宗などであって、その後転宗したとするものがある。この点に関しては寺伝によるものが多いが、現に浄土教系統の仏像―特に阿弥陀仏―以外のものを伝来している場合があることで、その可能性の高さを見ることが出来よう。