『富田林市史』の編集事業は、昭和四四年から故西岡潔市長のもと市制二〇周年記念事業として始まり、史料編の第四巻、第五巻、本文編として第一巻(考古・古代編)、第二巻(中世・近世編)を刊行し、このたび、完結となります第三巻(近代・地理編)を発刊する運びとなりました。
本市域は古くから商業都市として栄えた寺内町を中心とする歴史あるまち、金剛山系と石川の清流に育まれた緑豊かな自然が溢れるまち、そして金剛地域の大規模開発による近郊都市としての機能美豊かなまち、と異なる三つの個性が融けあうまちとして発展してきました。
現在は、急激な少子高齢化と、バブル崩壊後の長期にわたる経済の低迷等、これまでに経験したことのない大きな転換期をむかえております。
本市としましては、今後「ゆとり」「生きがい」「思いやり」を理念とし、「改革と創造」をモットーに市政を進めるにあたって、脈々と受け継がれた先人の営みを顧みることは大変意義深く、それを歴史として後世に引継ぐことは、責務であると考えます。
この巻は、明治以降の富田林市域を中心に関連のある南河内地域等の地理や歴史について概観したものでありますが、身近な事象が記載されていることからも、興味深く読んでいただけるものと存じます。
終わりに、長年にわたって市史の編集にご尽力をいただきました井上薫委員長をはじめ編集委員、部分執筆者の方々に感謝の意を表しますとともに、貴重な資料を提供いただきました市民並びに関係各位に厚くお礼を申し上げます。
平成一六年三月
富田林市長 多田利喜