郡区町村編制法の施行にともない、町村の編制も改められた。堺県では、明治一三年(一八八〇)四月二三日に「今般郡区改正候ニ付、各郡区中左之通町村ヲ聯合シ、戸長役場ヲ設置候」(『堺県法令集』四)と布達して、従来の大小区制に代わって聯合町村制を施行した。本市域に関係する聯合は、次のとおりである(傍線は富田林市域)。
古市郡役所部内(七聯合、一九六か村)
第二聯合(一五か村)
石川郡 春日村 葉室村 太子村 東山村 一須賀村 大ヶ塚村 山城村 南大伴村 北大伴村 富田林村 毛人谷村 新堂村 中野村 喜志村 新家村
第三聯合(四八か村)
錦部郡 錦郡村 錦郡新田 伏山新田 甲田村 新家村 廿山村 加太新田 嬉村 横山村 伏見堂村 彼方村 板持村 市村 市村新田 原村 向野村 古野村 長野村 河合寺村 喜多村 小山田村 下里村 天野村 日野村 滝畑村 片添村 上田村 三日市村 小塩村 鬼住村 西代村 上原村 惣作村 野村 高向村 唐久谷村 加賀田村 石仏村 新町村 流谷村 天見村 岩瀬村 清水村 鳩原村 太井村 寺元村 小深村 石見川村
第四聯合(三一か村)
石川郡 千早村 中津原村 吉年村 東坂村 小吹村 持尾村 平石村 上河内村 下河内村 弘川村 白木村 中村 馬谷村 別井村 畑村 寺田村 加納村 山田村 寛弘寺村 森屋村 神山村 (東)板持村 山中田村 佐備村 川野辺村 水分村 芹生谷村 二河原辺村 桐山村 甘南備村 龍泉村
聯合町村には戸長・用掛・筆生(ひっせい)などが置かれ、大小区制の小区に置かれていた副区長・副戸長・出納役は廃止された。四月二四日に「郡区戸長選挙法」が布達され、戸長は、聯合町村での記名投票によって選出されることになった。選挙・被選挙人の資格は、満二〇歳以上の男子で、地所・家屋などの不動産を所持する者および質取人となっており、懲役一年以上および国事犯禁獄一年以上の刑に処せられた者と身代限りの処分を受け負債の弁償を終えていない者は除外された。二〇歳に満たない者でも、特に人材名望ある者には被選挙権を与える特例が認められていた。さらに、五月一四日の改正によって、不動産所持者の家族で名望ある者にも被選挙権が与えられることになった。当選しても、県が不適当と判断した時は、再選挙を命じるか適切と思われる人物を任命することができたが、六月一七日の改正によって、さらに強化され、「戸長選挙ノ際、其事情該町村ノ治否ニ係ルト見認ルトキハ、特ニ官選ヲ以テ任スル事アルヘシ」という一条が設けられた。町村の総代の選出は、六月七日の布達で、「町村総代選挙之儀ハ、爾後人民ノ協議ニ任候条、異動之都度、所管郡区役所へ可届出」と、町村民の自由に任されたが、総代が村の代表として果たす役割は大きかったと思われる(以上『堺県法令集』四)。