明治一七年(一八八四)五月七日、政府は、太政官達第四一号をもって、従来の戸長民選制を改め、府知事・県令が選任することにした。もっとも、選任にあたっては、あらかじめ町村民に三人から五人の候補者を選挙させ、その中から任命することを認めており、内務省達乙第二五号をもって、その選挙には区町村会議員の選挙法を準用することを布達した(『法令全書』)。大阪府も、六月二四日に「戸長は府知事之を撰任す、尤時宜に依り町村人民をして撰挙せしむることあるへし」という布達を発し、七月一日から施行することにした。八月一八日、大阪府は九条からなる「戸長選挙規則」を制定したが、この規則は一度も適用されることなく、完全な戸長官選制が実現した(『大阪府全志』一)。
大阪府は、六月二四日、戸長官選制を布達すると同時に、「戸長役場管理区域別冊の通改定、来る七月一日より施行す」と新しい戸長管理区域の設定を公布した。その結果、大阪府下全域に聯合町村が設けられることになり、それが戸長管理区域になった。本市域の戸長役場とその管理区域は次のとおりである(『大阪府全志』一)。
河内国
石川・古市・安宿部・錦部・八上・丹南・志紀郡役所部内(五〇戸長役場・一九四か村)
石川郡(一三戸長役場・四六か村)
第一戸長役場(二か村) 富田林村 毛人谷村
第二戸長役場(二か村) 新堂村 中野村
第三戸長役場(二か村) 新家村 喜志村
第四戸長役場(五か村) 南大伴村 北大伴村 別井村 山中田村 (東)板持村
第十三戸長役場(三か村) 甘南備村 龍泉村 佐備村
錦部郡(一二戸長役場・四七か村)
第十四戸長役場(四か村) 甲田村 新家村 廿山村 加太新田
第十五戸長役場(三か村) 錦郡村 錦郡新田 伏山新田
第十六戸長役場(五か村) 板持村 彼方村 伏見堂村 横山村 嬉村
戸長役場の名称は、正式には村名を列挙することになっており、役場の門標には村名が列記されていたが、「石川郡南大伴村外四ヶ村戸長役場」などと省略して呼ぶことが多かった。