金剛コロニーと市民

563 ~ 565

昭和四二年(一九六七)六月、大阪府は金剛コロニー建設の基本計画を決定した。富田林市甘南備の地に、知的障害者(当時は精神薄弱者)のための福祉施設を建設するという計画である。金剛コロニーの着工は、四三年八月一〇日であった。四四年四月、コロニーの経営主体として、社会福祉法人大阪府精神薄弱者コロニー事業団(平成八年に大阪府障害者福祉事業団と改称)が設立された。そして四五年四月、知的障害児施設しいのき寮と知的障害者更生施設くすのき寮、および職能訓練所が開設された。

 二施設(二寮)で出発した金剛コロニーは、その後、毎年拡充し、昭和四八年には八施設(八寮)を持ち、おのおのが小舎制による生活指導訓練を行うほか、多種多様な取り組みを実施してきた。

写真160 金剛コロニー

 富田林市民との交流は、コロニーまつり、運動会、あるいは運動場や体育館の開放などのほか、在宅障害児・者に対するサービスとして緊急一時保護事業(現在は短期入所事業)や宿泊訓練への協力を行ってきた。

 国際障害者年の昭和五六年には、近隣市民に対しコロニー見学会や講演会などの啓発活動を行った。翌五七年には、保護者と共に石川河川敷の清掃奉仕を行い、これが市民の共感を得て、以後、全市挙げての市民運動として定着するに至った。この年から、地域の知的障害者とその家族を対象にした療育キャンプを実施している。また、昭和五七年から地域の保育所・幼稚園などを対象に、コロニーで飼育している小動物に子どもたちが実際に触れる移動動物園を開始した。

 コロニーで生産された野菜や諸種の作品を販売する常設店ぽぷらが富田林西口に開設されたのは、昭和五九年である。その後、店は移転を重ね、平成六年(一九九四)九月に南河内府民センター近くで新築オープンした店は数えて四代目である。ぽぷらは入所者と地域の人々とのふれあいの場の役割を果たしてきた。同じ昭和五九年には、市民向けの一泊二日の第一回ボランティア講座が開催された。

写真161 2代目のぽぷら(平成3年)

 以上主なものを列挙したが、これら以外にもバザー、飼育スクール、わんぱくキャンプなどさまざまな事業が行われ、入所者が施設の外の地域とふれあう機会をつくり、あるいは地域に役立つ施設となる努力が続けられてきた。