平成一四年(二〇〇二)五月一日現在の金剛コロニーの入所者数は、八四五人(男四六九人、女三七六人)である。入所者数を年齢別にみると、四〇~四九歳が二六六人(男一五五人、女一一一人)でもっとも多く、次いで五〇~五九歳が二三六人(男一一二人、女一二四人)となっている。すなわち、四〇~五九歳の年齢層だけで、全入所者数の六〇%を占めている。これに三〇~三九歳の一四二人(男八四人、女五八人)を加えると、七六%となる。創立三〇年を迎えた金剛コロニーは、入所者の高齢化現象が深刻になっているのである。このことは、コロニーの旧来のシステムでは対応できない事態を生み出した。
それだけではない。日本社会の激変にともない、社会福祉の分野でも構造改革がとなえられるようになり、コロニー改革の名のもとに、入所者支援態勢や組織などについて、全般的な見直しが必要となった。さらに社会福祉にも契約利用の時代が到来しており、画一的で硬直的な支援体制を脱却する必要も生じた。
平成一四年四月、コロニー改革による新支援体制がスタートした。寮部門を組織上、三部に分けることになった。しいのき、すぎのきの二寮を生活支援部、くすのき、かしのき、もみのきの三更生寮を自立支援部、けやき、ひのきの二授産寮を就労支援部とした。なお若松寮は前年九月、地域福祉課と共に地域福祉部として位置づけられていた。
こうして部制を敷くことで小回りのきく組織づくりをめざすとともに、競争原理が取り入れられていく中で、サービスの質の評価へのこだわりや、これまでのコロニーに希薄だった経営感覚を育てることも狙いであった。
また一方、昼間活動支援(デイケア)のあり方も大きく変化した。コロニーでは、これまで、療育課、職能作業課、授産課のそれぞれに専任の職員を配置して、デイケアに当たってきたが、以後はデイケア部門の職員をすべて寮に配属して、昼間の活動支援も寮の職員が当たることになった。こうして、支援の体制を一元化したのである。
開所以来三〇年、金剛コロニーの支援体制は、入所者の生活の中にメリハリとリズムを保つとともに、人間関係の広がりや情緒の安定化にも大きな効果をもたらしてきたが、社会福祉の分野も激変の時代を迎え、旧来の支援体制を改革する必要が生じたのである。