多田市長の初登庁は五月一日であった。富田林町の自宅から歩いて登庁した多田利喜新市長は、市役所玄関で多くの支持者や職員らに大きな拍手で迎えられた。
混迷の時代に富田林市長に就任した多田市長は、平成一五年(二〇〇三)六月一日付『広報とんだばやし』で市民に向けて次のように述べた。
5月1日に富田林市長に就任いたしました。生まれ育って52年、一貫して住み続けてまいりました富田林市の市長となって、あふれる意欲と同時に重い責任を感じています。
私の政策の2つの柱は「市役所の構造改革」と「情報公開度日本一」です。
私は、毎朝歩いて市役所に通うのですが、歩きながら、市役所は市民の皆さんにとって、どんな存在であるべきか、そのためにはどうすべきかを考えています。
「市民の役に立つ所」のはずの市役所が、遠くてわかりにくいところになっている。残念ながら、そんなご指摘や苦情が多くの方から寄せられています。
市民の皆さんにとって、わかりやすい、やさしい、温もりのある市役所にするには、「市役所の構造改革」が必要です。それは職員の意識改革も含みます。
初登庁の日、職員に、市民の皆さんの視点に立って仕事を進めていくこと、今までこうだったからというのではなく発想の転換をして鋭い視線で業務を見直すこと、また、出し惜しみせずそれぞれの能力を十分に発揮するよう、そして厳しい不況が続く中、公務員としての自覚と責任の上に、民間と同じ緊張感を持って、職務にあたるよう申しました。
また、「情報公開度日本一」のまち、ガラス張りの市政をぜひとも実現していきたいと考えています。
市民の皆さんは、納税者として当然のことながら、行政情報を知る権利があり、また、その方法についても、よりわかりやすく、より簡単に情報が入手できるシステムをつくり上げることが大切だと考えております。
さらに、まちづくりにあたっては、「改革と創造」を基本理念に推し進めてまいります。
今ある姿をもう一度見直し、改めるべきところは改め、一から創る。これが「改革と創造」のまちづくりです。市町村合併の問題について申しますと、4市町村の枠組みにこだわらず、また市民の皆さんの意向を最優先に考え十分な情報を提供して、市民の皆さんとともに進めてまいります。
私は、わがまち富田林市を一望できる金剛山に登るのが、何よりの楽しみです。山頂からふるさとを眺めながら、まちづくりを考えます。
・いつまでも健康で、いきがいと安心あるまちづくり
・地域経済を活性化するまちづくり
・豊かな人材を育むまちづくり
このまちの未来のために、市民の皆さんとともに、一歩一歩着実に市政を進めてまいります。
六月二三日には、第二回市議会定例会が開催され、その本会議場で多田市長は次の五項目を所信表明の中で強調した。
(1)行政システムの刷新
(2)未来を拓く人材育成
(3)健康・安心・支えあい
(4)まちと環境の再生
(5)地域経済の活性化
こうして新しい多田市政が市民の大きな期待をになって出発した。