一 地形区分

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 南河内地方は大阪府の中では比較的多様な地形要素からなっており、それぞれが人間活動の舞台として、異なる機能や景観を生み出している。東に金剛(こんごう)・葛城(かつらぎ)山地が奈良盆地との境界をなし、紀見(きみ)峠で屈曲して和泉山脈が西に延びる。金剛山地と和泉山脈から北へ流れる石川水系では、本流だけでなく、支流の千早川(東条川)や佐備川沿岸でも河岸段丘が発達する。一方、石川の谷から羽曳野丘陵を隔てた西側を北西に流れる天野川は狭山扇状地を発達させている。石川の河谷平野と狭山扇状地を隔てるのが、低くなだらかな羽曳野丘陵である。

 金剛山地の山麓は千早川や佐備川の上流部が侵食した谷を形成し、石川本流と佐備川に挟まれた嶽(だけ)山と金胎寺(こんたいじ)山は高度も大きく金剛山系が北へ延びた尾根に当たる。地質的には異なり、形成の原因も別である(『市史』一 三~一〇頁)。

 富田林市域では、地形環境の観点から、①石川本流と各支流沿岸の段丘を伴う河谷平野、②羽曳野丘陵、③嶽山・金胎寺山と東条丘陵に挟まれた佐備川谷の三つに区分される(図5)。佐備川の西側の山を便宜的に嶽山山地と呼び、東側の丘陵を東条丘陵と呼ぶことにする。それぞれの地形に適した人間活動は異なっており、時代によっても、それぞれの地形を利用する人間の活動が変化する場合もあった。

図5 富田林市域のブロックダイアグラム